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店長情報

2005年12月28日

お正月を菜香亭で -3日に新春イベント- お茶席やぜんざいを用意



 天花の山口市菜香亭(TEL083-934-3312)は来年1月3日(火)に臨時開館し、新春イベント「菜香亭で過ごす初春」を行う。歴代総理大臣の扁額が並ぶ大広間では、市民による書き初めを実施。初春にふさわしいお茶席も設けるほか、温かいぜんざいなどを提供する。

 昨年10月に開館した山口市菜香亭は、八坂神社境内の一角にあった元料亭・祇園菜香亭が移築・復元されたもの。この料亭は、毛利藩の料理担当者だった斉藤幸兵衛が1877(明治4)年に開業。名付け親の井上馨をはじめ、伊藤博文、木戸孝允、山縣有朋、岸信介、佐藤栄作など日本史上に名を残す多くの政財界人らに親しまれた。96年に廃業してからは、保存活用を求める市民団体などが署名や請願書を市に提出。文化庁の助成を得て、市民の文化交流拠点施設として現在地に移築・復元された。今も大広間に飾られる扁額の数々や昔のままを残すたたずまいからは、明治、大正、昭和にわたって政治の裏舞台となった当時の面影を偲ぶことができる。
 菜香亭を運営する指定管理者・NPO法人歴史の町山口を甦らせる会(福田礼輔会長)はこのたび、この歴史的空間で過ごす正月を市民や帰省者らに味わってもらおうと、3日の新春イベントを企画。大広間の上の間にお茶席(400円、限定100席)を設けて抹茶の接待をするほか、中の間では午前と午後の2回、公募で集まった市民約60人による新春書き初めを実施する。また、かつて祇園菜香亭で使用されていた漆器で味わえる「薬膳善哉」(300円、150杯)と、体の芯から温まる「福雑炊」(500円、200杯)の炊き出しもある。各イベントとも午前10時から午後3時まで。
 「駐車スペースも十分にございますので、野田神社や今八幡宮などへの初詣での後にぜひお寄り下さい」と同法人。通常営業は翌4日から。  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月28日

師走

 12月も後わずか。がぜん街は活気に溢れてきましたね。新しい年を迎える準備に皆さん忙しそうです。この気ぜわしい時、私は静かに過ごしています。いつもの月より音と光に溢れている師走、私はとても静かなんです。なにか宗教的境地に達したような書き方をしましたが、なんのことはない、ただ、耳の中の蝸牛殻が少々老化し、聞こえにくくなっただけなのです。だから、静かなのです。
 耳の中ではいつもサラサラという風の音がしています。そして、人の話し声はステレオで聞こえるのです。左耳から普通の声がし、右耳がそれを洞窟の中の声のように反響させて私に聞かせる。耳の中は、複雑に音が飛び交い結局わけのわからない世界となります。実は、私はこの世界を楽しんでいるのです。言葉が聞き取れない、ということは、とても楽なのです。
“言葉に付き合うと、見えない恐怖に脅かされる。不安や心配、絶望や失望はすべてことばの産物である。愛を語りえないことばも、不安や心配、絶望や恐怖だけなら雄弁に語るのである。意識や言葉に縛られると、何ごともうまくゆかず、気持ちが阻喪するのはそのせいである”(なぜ〈ことば〉はウソをつくのか? より)
 眉をしかめて人が私に何かを言っているが、私の耳には風が吹くので聞こえない。私がただ微笑んでいると、その人もいつの間にか愁眉を開き笑っている。知らないうちに問題は解決したのである。その人はにこやかに手を振って去った。年の瀬、私は静かで幸せだ。  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)おんなの目

2005年12月25日

ごみの出し方に注意! 山口市年末年始の業務日程


 山口市の年末年始の業務日程は次の通り。
 [窓口]28日(水)午後5時15分までで、年始は1月4日(水)午前8時半から。ただし、休み期間中でも出生届、婚姻届などは市役所宿直(TEL083-922-4111)で受け付ける。
 [ゴミの収集]山口・小郡・徳地地域は30日(金)までで、4日から。秋穂・阿知須地域は29日(木)までで、4日から。
 〈問い合わせ〉
●旧山口市、小郡、秋穂=市清掃事務所(TEL083-927-1770)
●徳地=徳地支所市民課(TEL0835-52-1113)
●阿知須=阿知須支所市民課(TEL0836-65-4113)
 [可燃物の持ち込み]
クリーンセンター(TEL083-927-0020)=30日午後4時までで、4日から▽阿知須清掃センター(TEL0836-65-4953)=29日正午までで、4日から。
 [不燃物の持ち込み]神田一般廃棄物最終処分場(TEL083-927-4007)=30日午後4時までで、4日から▽鍛冶畑不燃物埋立処分場(TEL083-972-8248)=30日午後3時までで、4日から▽青江一般廃棄物最終処分場(問い合わせは秋穂支所市民課)=30日までで、4日から▽阿知須清掃センター=28日までで、4日から。
 [資源ごみの持ち込み]市リサイクルプラザ(TEL083-927-7122)=30日午後4時までで、6日(金)から▽周布町資源物ステーション(市環境保全課TEL083-934-2777)=30日正午までで、4日から▽阿知須清掃センター=28日までで、4日から。
 [し尿のくみ取り]富士企業(TEL083-925-7654)=29日までで、5日(木)から▽山口公衆衛生協会(TEL083-922-1746)=28日までで、5日から▽小郡衛生公社(TEL083-972-0222)=28日までで、6日から▽小郡衛生秋穂社(TEL083-984-4159)=29日までで、4日から▽吉南衛生社(TEL083-973-1250)=30日までで、5日から▽阿知須公益社(TEL0836-65-2350)=26日までに申し込みで、4日から▽防府環境整備(TEL0835-22-5620)=30日正午までで、5日から▽ホーエー(TEL0835-22-5776)=30日までで、5日から。
 [火葬場]市斎場(TEL083-929-0990)=元日のみ休み▽浄明苑(TEL083-989-4969)=無休▽徳地斎場(TEL0835-56-0690)=元日のみ休み。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月25日

札の辻・21

 詩人草野心平の生誕101年を記念し、戦中戦後から最晩年に至るまで45年間にわたり書き続けられた未公開の日記・手帖114冊が、詩人の没後16年になる今年の4月に、「草野心平日記」として思潮社から出版されるようになり、その第6巻が届いた。
 第6巻には「その死の前後の回想」という高村光太郎と中原中也へ寄せた詩がある。

  中原中也

 もうおたがい。
 深酒は止そうや。
 と。
 中也は言った。

 ここのウチ。
 Qには教えないで。
 とも。
 中也は言った。

 額の上には。
 ガーセで包んだ豆腐が
 のっかってる。

 帰ろうと握った中原の
 掌はその時。
 熱かったか。
 冷たかったか。

 それは忘れた。

-1980・10・11夜。回想詩を考え眠れない。池袋のママの呉れたワインが見つかりナイフで栓をあけて。のむ。
 また中也については「彼は自嘲や絶望で灰色であっても。そのどれの底にも『少年』が脈打っているのだ。しかも『少年』が常に彼の思考の底で夕焼小焼を唄っているのだ」とこれは既刊の草野心平全集第11巻の随想にある。
 梅干と生わさびをこねまわしたものは。ウイスキーにも日本酒にもよく合う「心平酒菜のうた」より。
         (鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2005年12月24日

足湯マナー呼びかけポスター 湯田小



サンデー山口がきっかけ

 湯田小学校4年1組の児童41人は、約1カ月かけて、足湯の素晴らしさやマナーを呼びかける冊子と14種類のポスターを作った。

 子どもたちが「足湯について調べたい」と、担任の森重厚子教諭に提案したのは11月13日。この日、サンデー山口の1面記事「憩いの場がごみの山 湯田の足湯、問われる市民のマナー」を見て、足湯が放置自転車やごみなどで汚されていることにショックを受けたのだという。
 森重教諭も賛成し、「総合的な学習の時間」を使って、ポスター・冊子づくりをすることに。子どもたちは、足湯のマナーについて調べるだけでなく、利用者の声や清掃している人の苦労話を紹介しようと、現地でインタビューにも挑戦。集めた情報をまとめて、レイアウトをする作業では、試行錯誤を重ねながらより分かりやすく目立つように工夫した。当社に直接電話をかけ、清掃している人の連絡先などを質問してきた冨山瞬くん(10)は「電話やインタビューをするのは緊張したけど、いろいろな人と話せてとても楽しかった。足湯は湯田に住む僕たちの自慢。これからもずっと守っていきたい」と力強く話した。森重教諭は「皆真剣に足湯のことを考え、積極的に作業に取り組んでくれたので感心している。途中、“子どもが足湯で遊ぶので困る”という声も聞かれたので、学校向けのポスターも作った。来年以降、完成した作品をどこかに置いてもらえるよう交渉していきたい」と話している。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月23日

2005年 市の10大ニュース



新「山口市」、新市長が誕生

道の駅「きらら あじす」オープン(3月26日)
 県内18番目の道の駅としてオープン。初日は開店前から約3千人の行列ができ、2日間で約5万人が訪れた。町と農協、漁協、商工会が設立した第三セクター「阿知須まち開発株式会社」が運営。市場直送の魚介類や新鮮な農産物、特産品の「寒漬」や「しょうゆ玉」、「くりまさる(カボチャ)」などを販売している。
長浜漁業集落排水と秋穂公共下水道の一部供用開始(4月1日)
 総合的、効率的な汚水処理を行うため、98年度から旧山口市と旧秋穂町が共同で建設を進めていた。総事業費は約12億8千万円で、計画処理人口は3650人。水質管理、経済性に優れた処理方式を採用している。3月28日には関係者立ち会いの下、通水式が行われた。
史跡大内氏館跡「西門」復元工事完了・一般公開開始(4月19日)
 市教育委員会は97年度から、国指定史跡「大内氏館跡」(大殿大路)の復元整備工事を実施。03、04年度は館跡西側で発見された「西門」の立体復元工事を行った。4月19日の完成披露式典の後に一般公開。大内義隆の時代の内門であったと考えられる。
国民文化祭プレイベントを市内各地で開催(7月11日~)
 来年県下各地で開催される「第21回国民文化祭・やまぐち2006」。7月11日に市中心商店街で行われたファッションイベントを皮切りに、県民文化祭の期間に併せて市内11事業すべてのプレイベントを開催した。
柚野木小学校竣工(7月29日)
 02年4月1日に柚野木小学校と柚木小学校が統合してできた柚野木小学校は、徳地地区の最北部に位置する児童数(05年5月1日現在)9人の小規模校。7月27日に面積500平方㍍の木造平屋建校舎が完成した。中心部に吹き抜けの多目的スペースがあり、構造材には地域住民から寄贈された木材が使用われた。
秋穂保健センター供用開始(8月4日)
 秋穂総合支所北側に「秋穂保健センター」が完成し、8月4日に供用開始。相談室や多目的ホール、栄養指導室を備え、母子健康手帳の交付や妊婦・乳幼児健診、育児相談など各種保健業務を行っている。総工費約1億4700万円。
県央部1市4町の合併により新「山口市」誕生(10月1日)
 県央部1市4町の合併により、10月1日に新「山口市」が誕生。市役所では開市・開庁式が行われた。一方、旧4町では閉庁式があり、町への名残を惜しむとともに、新市への希望を新たにした。また、合併に伴う市長選は11月13日に行われ、渡辺純忠氏が当選。
05年国勢調査(10月1日)
 5年ごとに行われる国勢調査の結果、山口市は00年の前回調査と比べ、人口で2989人、世帯数で3784世帯の増加となった(数値は概数)。
「山口市行政改革推進本部」を設置(11月18日)
 合併効果の最大限の発揮、市民と行政との連携・協働、分権型社会に対応した行政運営などを実現するため、11月18日に「山口市行政改革推進本部」が設置された。市民や民間有識者などの意見を踏まえた検討を進め、06年度中に行政改革大網を策定する予定。
新山口駅南の土地活用進む
 新山口駅南・土地区画整理事業用地30㌶の供用率が92%になった。今年度中に事務所3棟、店舗医3棟、賃貸住宅5棟、貸し駐車場1カ所が立地し、12月1日現在の利用率は53%。集合住宅の立地も盛んに行われており、新山口駅周辺の一層の発展が期待される。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月23日

石垣 (山口市水の上町)



 一の坂川、その上流に伊勢橋と並び国道9号線に架かる橋があるが、その橋梁の下部に古い時代の石垣を見つける。谷積み、落とし積みといわれる石積みは、近世(江戸時代)のものと思われるが、長らえる姿を見ると感動するし、歴史を感ずる。もとは上宇野令の一部といわれるが、国道の下に水路があり、水の上町の地名に納得する 。

現地では石積みの差が判別出来るが、写真では無理と思う。画面にシダを配し雰囲気を出した。(ニコンF4 28㍉ F81/60秒)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)山口周辺

2005年12月21日

阿知須 セキレイ、スズメ… 野鳥が肉屋さん通い!



 阿知須東区の池本精肉店に先月から、かわいらしい“お客”が毎日足しげく通っている。
 この珍客とは、野生のセキレイ、スズメ、シジュウカラ。日中、店先に飛んできては店主の池本保さん(62)と妻の文子さん(59)にエサを催促。牛ミンチを地面に置いてやると、うれしそうにつつき始める。入れ替わり立ち替わり、数羽の鳥が日に何度もやってくるという。
 最初に鳥が来始めたのは今年1月。ある寒い日、店先で身を寄せ合うつがいのセキレイに、文子さんが肉片を与えたのが始まり。以来、このセキレイをはじめ、さまざまな野鳥が飛んで来るようになった。春には店のそばに巣をかけたスズメがひなをかえし、やっとのことで羽ばたい小さなひなが、店内に入り込むというハプニングも。どの鳥も手乗りにできそうなくらい池本さん夫妻に懐いていたのだが、夏からぱったりと姿を見せなくなっていた。
 「もう来ないのだ」とあきらめていたところ、先月初旬に1羽のスズメがひょっこりと姿を現した。以前通っていた鳥かどうかは分からないが、その日から毎日エサを求めて来るようになり、セキレイやシジュウカラも仲間に加わった。「また来るようになって、何だかホッとしました。かわいくて仕方ないですよ」と池本さん夫妻。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月18日

中園町三和町線の交差点 来月から一部通行可



 8月1日から全面通行止めとなっていた「都市計画道路中園町三和町線」の変形五差路交差点(袖解橋)が、当初予定より3カ月早い来年1月1日から一部通行可能になる。もともと交通量の多かった道だけに、周辺道路の渋滞緩和が期待できそうだ。また、現在工事が進められている市内主要道路の整備状況について取材した。

 県道宮野大歳線と市道東山通り下矢原線を結ぶ都市計画道路中園町三和町線と、県道陶湯田線(山大通り)と市道糸米羽板線を結ぶ「市道湯田温泉二丁目中園町線」とが交わる袖解橋は、両県道への“抜け道”に使われることから幅員が狭いわりに交通量が多く、交通事故の多発場所でもあった。交通安全対策と渋滞緩和を目的としたこのたびの工事は、道幅を約10㍍広げて両側に歩道を設け、歩行者の安全を確保。見通しの悪い変形五差路交差点は、ディックホームセンター山口店へとつながる市道旭通り一丁目三和町線を東山通り寄りに移動することで四差路に変更し、信号機を設置するというもの。同都市計画道路の全面開通は来年度末になる。
 下に雨水排水路が通る同交差点の工期は、水路の移設を伴う一番の難所であることから、当初3月末までの予定だった。しかしながら、全方向の通行止めに不便さを訴える周辺住民からの要望もあり、交差点部分の工事を最優先する形で全体の工程を変更。結果、年度内に完成する運びとなり、年明け1日から湯田温泉二丁目中園町線のみ通れることとなった。
 なお、同都市計画道路の交差点付近は引き続き通行止め。現在東山通り・大橋まわりになっているコミュニティバス吉敷・湯田ルート(旧道・朝倉まわり)は、4月から従来通り湯田温泉二丁目中園町線を走る。
黄金町野田一号線
 市民会館から県庁に抜ける「市道黄金町野田一号線」の歩道改修工事は来年3月まで。現在、幅2㍍に拡張する両歩道への側溝の設置と、市営駐車場そばの交差点整備が行われている。工事に伴い、片側交互通行の交通規制が敷かれているが、夜間は規制を外して両車道を開放。日中の片側交互通行は来年2月いっぱいまでの見込み。
一本松朝倉線
 県道になることを前提に99年から進められている「都市計画道路・一本松朝倉線」の拡幅工事は、いよいよ大詰めの段階。11月14日から来年3月20日まで、防長苑そばの交差点から錦川に沿う市道中央町二丁目湯田温泉四丁目線への入口が通行止めとなり、道路の下を流れる錦川の改修工事が行われている。ここにはNTTの光ケーブルが十数本通っているため、工法が特殊で時間がかかるのだという。一方、並行して進められているセントコア前から県道宮野大歳線と交わる朝倉口交差点までの拡幅に合わせ、第一ビル側に仮設されている迂回路が、今月末から交差点まで延長される。両工事の完了は来年3月末の予定。国道9号線と同県道とを接続する新たな県道に生まれ変わる。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2005年12月18日

札の辻・21

 隠岐諸島、壱岐・対馬、竹島など日本海の島々を結ぶトライアングルの中に、奇妙で不思議なエリアがあり、何千年以上も未発見で地図にも記載されていない島「逆さ獅子島」があった。ーーという想定をもとに書かれた陶芸家大和保男氏の小説「激浪の遥かに」を読んだ。
 第一章、逆さ獅子島のプロローグに目を通したとき、萩茶碗でアペリティフを飲むような気分になったが、これまでの保男作陶額のデザインにも、透明に近いブルーがあざやかに浮き出されていたことを思い、その感性が躍動感に溢れるペンの走りになっていると感じ文脈に惹かれていった。
 ストーリーの中心人物一條晴輝が、リミテッドクーペ・セントを運転し、小椋佳のCDを聴きながら山陰の海の町へと急ぎ、またときには六本木や赤坂など夜の東京を彷徨するあたりには、やはり若き日の大和保男氏の姿が重なってくる。
 そして海の町の懐石料理の店で、珍魚金太郎を食べワインを飲み、時には湯田温泉で行きつけのスナックに顔を出す状況には、いまの大和氏が見えかくれする。
 まとめとしての第二章、萩焼異伝「漂泊の陶工」に至ると、百済・新羅時代から、文禄・慶長の日本戦国大名との戦いを経た朝鮮半島における陶工の先達が、代々伝えて来た口伝がいかに忠実に守られているかを、小説の筋は奇想天外な構想によって、あるひとつの家系一族にスポットを当てて究明してゆく。
 あとがきまで一気に読了したが、やはり保男茶碗で緑茶をたしなむ想いに包まれたことだった。         (鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻