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2007年09月30日

夢を追う小さなドラマー 東京・大阪のフェスティバルで一躍人気者



 山口市に大人顔負けの演奏をする小さなドラマーがいる。7月7日、東京で開かれた音楽フェスティバルでデビューし、約300人の観客の注目を一身に集めた一楽あずさちゃん(大内南小1)だ。普段はシャイな女の子だが、ひとたびスティックを握るとその表情は一変。6歳とは思えない技術と力強い音で観客を魅了。世界で活躍するアーティストの父・儀光さん(47)の指導の下、あずさちゃんはきょうもまた大好きなドラムに向かう。

 あずさちゃんがドラムを始めたのは今年の1月。「お父さんやお姉ちゃんが毎日練習しているのを見て、とても楽しそうだったから」と無邪気な笑顔で語る。遊び感覚で始めたドラムだったが、気がつくとのめり込み、今では毎日30分から2時間程度の練習を欠かさない。
 父の儀光さんは、07年に世界で最も権威のある芸術祭「ベネチア・ビエンナーレ」にも参加したアーティスト。ドラムで映像を操作するという独自のパフォーマンス作品「どらビデオ」で異彩を放ち、ヨーロッパを中心に世界各地で賞賛の渦を巻き起こしている。現在、月に1回のペースで海外のフェスティバルに招待を受けており、東京・大阪などでの活動と合わせ、多忙な日々を送っているが、山口にいる時には必ずあずさちゃんにドラムを指導する。
 7月、たった半年で大人顔負けのスティックさばきを見せるまでに成長したあずさちゃんは、東京都渋谷区で開かれた音楽フェスティバル「円盤ジャンボリー」に、「チビどら年金問題を切る」という題の“どらビデオ”で出演。あずさちゃんがたたくドラムの音にあわせ、背後に設置されたスクリーンに、安倍前首相やそのほかの政治家、細木数子などが年金問題に関してテレビで発言した映像、矢部浩之(ナインティーナイン)の破局会見の様子など100種類以上の映像がランダムに映し出された。かわいらしい女の子が生み出す大人顔負けの迫力あるドラム演奏と、“年金問題を切る”という映像とのギャップが観客にうけ、会場からは大歓声が沸き起こった。
 パフォーマンスの前日を、「緊張しすぎて心臓が飛び出そうだった」と振り返るあずさちゃんだが、この時、人前で披露することの楽しさを覚え、それ以降さらなる意欲を燃やしている。
 今月15日には、大阪梅田のシャングリラであった儀光さん主催の「どらビデオ祭」にも“チビどら”という名前で出演。プロのミュージシャンや猫ひろしといったお笑い芸人などを含め、250人の観客が見守る中、前回よりも堂々としたドラムさばきを披露した。
 あずさちゃんは「夢はプロのアーティストになること」とにっこり。儀光さんは「これからも今まで通り好きなことを一生懸命やって人生を楽しんでもらいたい。わたしが教えられるのは音楽だけなので、そこからいろんな経験を積んで、今後、自分なりのやり方を見つけていってくれれば」と期待している。
 なお、あずさちゃんは12月には、神奈川県にできる「川崎市アートセンター」の自主企画公演に招待されているほか、来年7月には儀光さんと共にスペインのサラゴサ万国博覧会に日本代表として参加する予定だ。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2007年09月29日

中心商店街活性化に新たな試み 魅力的な場づくりを目指す



 市中心商店街を快適に過ごせる場にし、より多くの人に訪れてもらおうと、市商店街連合会はこのほど来街者の声を募る「目安箱」の設置を決定。市民の意見を反映させ、魅力的なコミュニティーの場づくりを図っていく。相次ぐ郊外大型店の進出やインターネットショッピングの普及などで、年々通行量が減少傾向にある同商店街だが、今年12月には新しく“どうもんビル”が完成予定。関係者らは、再びにぎわいが戻るきっかけになることを期待している。

 このほど、市山口商店街連合会は、商店街をより快適に利用できる場にしようと、商店街への意見や要望を募る“目安箱”の導入を新たに決定した。10月1日から市民活動支援センター「さぽらんて」、ほっとさろん中市「まちのえき」、ほっとさろん西門前「てとてと」の3カ所に設置する。商店街全体を対象とした常設の意見箱が置かれるのは今回が初めてで、魅力的なコミュニティーの場づくりに役立たせると共に、離れていた客足を呼び戻すきっかけにもなればとの期待が高まっている。
 なお、市民の意見が書かれたアンケートは、週に一回事務局員が収集し、その内容に関しては、月1回行われている役員会で検討していくという。
 同会の吉松会長は「面と向かって言えないことでもこの目安箱を通してなら言えることがあると思う。来客者と商店街の人たちのコミュニケーションの機会が増えれば」と話している。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2007年09月29日

なにかに熱中したい

 早朝5時、目覚めてすぐにテレビをつけたら、しっとりとしたトランペットの調べが流れてきた。しばし寝ぼけた頭で聞いていた。しばらくすると、黒い帽子をかぶった講師が出てきて「マイルス・デイビスは20世紀のジャズミュージシャンの中で、もっとも研究者と伝記が多い人です」と言った。マイルス・デイビス? 知らないわ。音痴の私は音楽全般に知識がない。番組表を新聞で見たら、これは「NHK・知るを楽しむ・私のこだわり人物伝―マイルス・デイビス」だった。
 昼になってもあのトランペットの音色は私の中から消えず鳴り続けた。身体が軽い。これはなんなんだ!
 調べよう。本屋でNHK発行のテキストを買って読んだ。中に、「ジャズの流れ」という表が作ってあった。スゥイング・ジャス、ビバップ、クール・ジャズ、ハードバップ、モード・ジャズ…。全部知らない…。表を参考にしながら、本文を読む。なるほど、知識ゼロの私にもジャズの成り立ちがわかった。彼がジャズ界の帝王だということも。
 毎日、手ごたえのない時間ばかりが過ぎていく。私の身体の奥が退屈で悲鳴をあげる。なにかに熱中したい。マイルス・デイビスに惹かれてジャズの扉を開けてみよう。嬉しい早朝の巡りあいだ。  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)おんなの目

2007年09月29日

札の辻・21

 残暑のつづいた9月が終わる。
 「花野」ということばがあるが、菜の花やスミレ、タンポポの咲きつづく春の野づらのことではなく俳句では秋の季語となる。先人たちは野菊、ハギ、ナデシコなど秋の草花に清楚な日本的自然美を感じたのか。
 家の近くにススキの群落があり、例年より少しおくれて穂を出してきた。そのススキの株もとにツユクサが生え、夏から初秋にかけてコバルト・ブルーの花をつける。草丈は30センチほどで地面を這うように繁り、シジミに似た小さな花弁の色があざやかなのだ。
 古来ツユクサは月草とも呼ばれ万葉の歌人たちにも愛されたが、文豪徳富蘆花は小説「みみずのたはごと」の中で「透きとほるような碧色は何ものにも比ぶべくもない。つゆ草は花ではない、それは露の精であり粋である」と書く。
 ツユクサの持つ特有の青い美しさは古くから衣料の移し染、摺り染にしているが、その青はもろくはかなくて本格的な植物染料にはならなかった。その色素はまだ解くことのできないカリスマ性を秘める。
 現在、滋賀県草津市などで友禅染の原料として栽培されているのはツユクサの別種オオボウシバナ(大帽子花)である。全形が大型で草丈も50センチに及ぶが開花期は短い。
 いまススキの群落に近い畑ではサトイモの葉が風にゆれ畦道にマンジュシャゲも咲き秋郊の舞台装置は揃った。
        (鱧)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻

2007年09月28日

防府天満宮の石鳥居 (防府市松崎町)



 京都の北野、福岡の太宰府と共に日本三天神といわれる。その参道に県内最古といわれる石鳥居がある。1629(寛永6)年は徳川幕府成立後で、世の中が平和になり築城も禁止される。石工達は他の石造物の仕事をする中で、燈籠、庶民の墓が盛んに造られるようになったといわれる。鳥居の最上部を笠木というが、5.74メートルの高さまで持ち上げた石工の技術に感心する。

鳥居の大きさを表現する為に子供を配する撮影とした。
(ニコンF4 28ミリ F16 1/125秒)  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)山口周辺

2007年09月28日

81歳・山口市在住の彫刻家 田中米吉展



 きょう28日から10月28日(日)まで、県立美術館(TEL083-925-7788)で「田中米吉~“ドッキング”からの視線展」が開催される。彫刻家として国内外で高く評価されている田中さん(81、駅通り)の初期の作品から最新作まで約40点が並ぶ。観覧料は一般700円、大学生500円。70歳以上と18歳以下および高校、中等教育学校、特別支援学校に在籍する人は無料。毎週月曜と10月9日は休館(ただし10月8日は開館)。

 大内御堀(現・宮島町)に生まれた田中さんは、幼いころから美術が好きで、旧制山口県立山口中学校、宇部工業専門学校機械科へと進学。その後、教師としての道を歩んだが、美術家になる夢を実現するため、仕事を辞めて上京した。1950年代から、作品制作の大きなテーマにしているのが“ドッキング”。宇宙衛星がドッキングする映像を見た時、技術の進歩が果たして人間に良い影響をもたらすのか、悪い影響をもたらすのか考えたのがきっかけだったという。
 65年に家業を継ぐため山口に戻り、山口市を拠点に作品を発表。68年にロンドンで開催された展覧会に12人の代表作家の一人として出品したほか、県芸術文化振興奨励賞(71年)、第11回現代日本彫刻展での大賞受賞(85年)、地域文化功労者文部科学大臣表彰(04年)など、数々の賞に輝いてきた。
 今回は、大小さまざまな円が間隔をあけて展示され、正面から見ると重なってダーツの的のように見える「ドッキングBW.20」や、重いはずの鉄の塊が簡単に動く「Untitled」などユニークなオブジェやインスタレーション作品が約40点展示される。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2007年09月23日

「徳地に住んで見えてくるもの(色鉛筆で描く…)」 吉村芳生

 

8月23日から第61回県美展が始まった。今年の大賞作品は、色鉛筆で描かれた大作である。
 色鉛筆で絵を描くという経験は、私たち誰もが経験しているはず。けれどもこれだけのものが色鉛筆で描かれたとなると、誰もが驚いてしまうのではないか。写真をもとに描いていると思われるが、ピントの合ったシャープな形はもちろんのこと、その後のぼやけた部分のぼやけ具合までもがきっちりと表現されている。
 ちょっと離れて画面を眺めていると、あの細く尖った鉛筆の先が少しずつ白い紙の上を動いて、ついにこれだけの大きな作品に変貌することに、なにか不思議なものすら感じる。
 完成までにいったいどれほどの時間が費やされるのだろう? そんな素朴な疑問が浮かんでくると、すぐまた画面に近づいて細部を見たくなる。
 ひょっとしたらこの作家にとっては、鉛筆で描き写せないものなどこの世界に存在しないのではないか…。瞬きも忘れて見入っていると、ふとそんな気がしてくる。

県立美術館学芸課長 斎藤郁夫  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)サンデー美術館

2007年09月23日

二島の空に舞う伝書バト



 「わーすごい!」「きれい」―。オリンピックの開会式などで飛ばされるハトが8日、全校生徒60人という二島中学校の体育祭で約200羽も放たれ、生徒や保護者から大きな歓声が上がった。実はこのハト、5年前に海外生活を終え、同地区に越してきた福田正之さん(60)の伝書バト。今春あったハトレース「ゴールデンカップ(山口県大会)」で、総合優勝を果たした実力者の福田さんは、「少しでも地域のお役に立つことができれば」と笑顔を見せる。

 二島中の体育祭でハトが飛ばされたのは今回が初めて。同中の第11代校長を務めた二井清夫さんが、近所に住む福田さんに「ぜひ開会式でハトを飛ばしてほしい」と依頼し、実現した。当日は、秋穂に住む藤村篤志さん(60)のハトも加わり、約200羽がファンファーレの合図とともに雲一つない青空へと飛び立った。キラキラと輝くハトを見ながら、子どもたちは「きれい」「すご~い」「二島の自慢じゃね」などと喜んでいた。
 福田さんが伝書バトと最初に出会ったのは、幼稚園の時。遠足で、毎日新聞九州本社ビルの屋上にある鳩舎を見学に行き、係の人がハトに写真フィルムを背負わせたり、原稿を小さな筒に入れて脚につけたりする姿に鮮烈な印象を受けたのだという。
 「すごい! 自分もほしい」
 ハトへの思いが募り、中学になった時、お小遣いをためて初めて血統書付きのハトを購入。一坪弱の鳩舎を作って30羽まで増やし、訓練して友達と5~10キロ程度のレースを楽しむまでになった。
 1963年、大きな転機が訪れる。山口国体の開会式でハトを飛ばすことになり、日本伝書鳩協会の前身・読売鳩の会の呼びかけで県内に三つの支部が設立された。中学生のころから先頭になってハトレースを楽しんでいた福田さんは、高校2年生にして、県西部支部の初代競翔委員長に就任。国体の開会式で見事3千羽のハトを飛ばすことに成功したのだ。
 これを機に県のハトレースにも出場。100キロ、200キロの部で優勝するなど華々しいスタートを切ったが、大学進学で上京することになり、愛鳩は弟に預けてハトとの生活に別れを告げた。
 就職してからは職業柄、転勤を繰り返す生活。ハトへの思いは変わらないが、鳩舎を構えることなど夢のまた夢だった。そして5年前、約15年の海外生活を終え日本へ帰国。周囲を気にせずにハトを飼える秋穂二島に居を構え、03年に念願だったレースを再開した。ハトのレースは、スタートしてからゴールするまでの途中経過を誰も見ることができない“見えないレース”。福田さんは「数百キロから千キロ以上のレースでは、過酷なサバイバルが空の上で繰り広げられるが、参加者はただ到着地、つまり自分の鳩舎のそばで待つだけ。このため一般にあまりなじみがないのだろうが、その過酷なレースを生き抜いて疲れ切った雄姿を見せてくれた時は、何ものにも代え難い感激がある」と魅力を語る。
 昔とは違うレース環境に試行錯誤しながらも、感覚はすぐに戻り、今春開かれた「ゴールデンカップ」(山口県大会)では、80人中最終の決勝レース(15人)に進出。新潟県から二島の自宅まで直線距離約900キロを、福田さんの一羽だけが帰還し、総合優勝を果たした。「鳩舎に飛び込んでくるのが見えた時、感動と安堵感で胸がいっぱいになった」と福田さん。
 現在、毎日朝と夕方の2回、二島でハトの訓練を行っており、この“ハトの散歩”は地域の名物になりつつある。毎日見ているという二島郵便局長の藤田幹さん(39)は「ハトが空の上で遊んでいる姿は、見ていてとても気持ちいい」とにっこり。福田さんは、今後もレースだけでなく、ハトを通して地域に貢献していきたいと話している。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2007年09月22日

よみがえれ! 井関川の壁画



 土手の草に覆われ、カビによって黒ずんだ状態になっていた阿知須の井関川沿いにある五つの壁画が、美しくよみがえろうとしている。11年前に作られ、次第に汚れていくのを見ていた地元有志たちが、清掃活動に乗り出したのだ。このほど、壁面に付着したカビを水圧ポンプで落とす作業が行われ、今後は周りの草刈りや色の塗り直しを行っていく。

 井関川の壁画が描かれたのは、今から11年ほど前。県の事業である井関川河川改修を行う時に「どうせなら川に親しみを持てるような工夫をしよう」と、県と当時の阿知須町が考えたのが始まりだった。
 町は、同河川の近くにある井関小学校に壁画の原画を依頼。当時6年生だった児童たちが卒業の記念にと、夏休み返上で取り組んだ。また、子どもたちの絵以外に、何か阿知須らしいものを描こうと、玉川地区の伝統的な民俗芸能「闘鶏踊り」を題材にした壁画も業者に依頼した。そして、97年の3月には、川沿いを行く人の目を引く色鮮やかな闘鶏踊りの絵や、子どもたちが原画を描いた川で釣りをして遊んでいる絵など大小合わせて五つが完成した。
 当時、建設課長として事業にかかわっていた坂田洋祐さん(70)は「いろんな人に『いいものができたね』と言われた。見た人から問い合わせが来る程だった」と振り返る。
 しかし、年月がたつにつれて色鮮やかだった壁画も色あせ、風雨のためにカビが生えて黒ずんだ状態に。その上、壁画の周りにある土手の草も生い茂り、いつしか存在も忘れられるようになっていった。
 そんな中、見る度に汚れていく壁画を気にかけていた古川友信さん(69)が「せっかくあるのにこのままではもったいない。何とか元通りきれいにしたい」と発起。所属する玉川地区の老人会や知り合いに呼びかけ、20人ほどの有志と共に壁画の清掃活動に乗り出した。有志たちは今月14日から、本格的に清掃活動を開始。最年少でも60代と体力的に厳しい条件の中、大きいものは横約10メートル縦約3メートルにも及ぶ五つの壁画を、小型水圧ポンプを使い約3日間かけて丁寧に汚れを落としていった。
 これまでにも井関川のゴミ拾いや草刈りなどの活動を行ってきた古川さんは「当時、壁画づくりに携わった人たちにきれいになった壁画を見てなつかしい気持ちになってもらいたい」と笑顔で語っている。
 坂田さんは「壁画がきれいに生まれ変わるのはとてもうれしい。また道行く人たちが見て楽しめるようになれば」と話している。
 なお、地域ボランティアということで市から塗装用ペンキ提供があり、今後は、稲刈りが終わってから周りの草刈りや色塗りを行っていく予定だ。
  

Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)ニュース

2007年09月22日

札の辻・21

 白玉の歯にしみとほ
 る秋の夜の酒はしづ
 かに飲むべかりけれ

 若山牧水のこの歌にはそこはかとなく涼感が漂っており、酒を愛した漂泊の歌人の孤影が重なってくる。
 歯にしみとほる酒は新酒であったろう。往古は秋に米ができるとすぐ酒を造ったが、近代では酒造技術者の杜氏の多くが農村出のため、農閑期の出稼ぎで寒造りが主体となり、季節的に新酒が出回るのは早春の頃だった。しかし現在では杜氏等の技術者確保と醸造設備の進歩から昔通りに新酒が秋に登場する。
 酒造りといえば山口県の酒造りの歴史は古い。「やまぐち発酵文化研究所」の柏木代表の話によると、5世紀頃の酒器のいろいろが県内の古墳から発掘され、宇部市楠町の岡崎八幡宮は中世室町時代から酒造りをし、酒造免許を持つ伊勢神宮をはじめ全国4神社のひとつであるという。
 なお、天保年間の防長風土注進案・舟木宰判には1396(応永3)年に、大内義弘が岡崎八幡宮へ米作りの神田寄付が記録されている。
 最近「周防・郷の香」というハモ料理に合う酒が出たというので、防府天神町にあるハモ塾の店に出かける。郷の香の冷酒で、見事な包丁捌きによるハモの内臓から皮まで余すところなく、仕上げはハモ雑炊で周防の酒と海の味をたのしみ、牧水の歌の余韻がよみがえる。  
        (鱧)  
Posted by サンデー山口 at 00:00Comments(0)札の辻