サンデー山口

－小さなおばあさんのお話－
ほるぷ出版
作：バーバラ・クーニー
訳：掛川　恭子
　ルピナスさんは海べの小さな村に住んでいるおばあさんです。春になるとこの村は、パステルカラーのルピナスの花でおおわれます。ルピナスさんが村中まいて回った種子がいっせいに花開くのです。
　ルピナスさんは子どもの頃おじいさんから「大きくなったら、世の中をもっと美しくするために何かしてほしい」と言われます。しかし大人になって世界中旅しながら美しいものを見て回っても、この世を美しくするために何をすればよいかわかりませんでした。
　体をこわし、小さな村に住みつくようになったある年の春、彼女は村をルピナスの花でうめつくすことを思いつきます。
　のはらや、海ぞいのおか
　が、あおや、むらさきや、
　ピンクの花でうめつくされ
　ました。…がっこうのまわ
　りや、きょうかいのうらも
　にぎやかな花ばたけにかわ
　りました。
　遠い国々の話を聞きにルピナスさんの家を訪れるようになった子ども達は、花に囲まれたおうちでお話を楽しみました。ルピナスの村で育った子ども達は、きっとこの幸せな時間を心にあたためながら成長することでしょう。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）