2002年08月18日
札の辻・21
去年の夏、知人から株わけしてもらった河骨(コウホネ)を、浅い水がめに移植していたが、この夏は2輪咲いた。
コウホネはスイレン科の多年草で、北海道西南部から九州までの小川や湖沼に自生する。春になると小型で里イモのそれに似た茎と葉が水中からのぞく。そして初夏の頃には、約20センチほどのエンピツ状の花茎が伸び、先端に丸みのある鮮やかで黄色い花が咲く。
河骨という花名の由来は、その太い根茎を折ると白骨に似ていることからきたという。
コウホネには子供の頃の思い出がある。
生家の近く、里山に抱かれた山ふところに、太陽寺という曹洞宗の寺がある。貞和3年(1347)創建と周防・長門名刹銘鑑にもあるから古い。この寺の裏山中腹に大きい溜池があり、子供たちは「太陽寺の堤(つつみ)」と呼んでいた。
花崗岩質の山から湧き出る水を集めた溜池だから、青く澄んでキレイであった。
当時も小学校では溜池での遊泳は禁止されていた。だが私は近くに大きい川が無いので、夏休みになると、こっそりこの溜池で泳いだ。私のほかにはいつも2羽のカイツブリが泳いでいた。
ある夏、ひとりで泳いでいると、突如雷鳴がとどろき夕立が来た。カイツブリは岸近くのコウホネの群落へかくれた。雷雨の中を家へ逃げ帰ると、今度は祖父からの雷が私に落ちた。あわてて着たシャツにコウホネの花弁が付着していて、溜池での独り泳ぎがバレたのである。
あのカイツブリとコウホネの池も、はるかなる追想となった。 (鱧)
コウホネはスイレン科の多年草で、北海道西南部から九州までの小川や湖沼に自生する。春になると小型で里イモのそれに似た茎と葉が水中からのぞく。そして初夏の頃には、約20センチほどのエンピツ状の花茎が伸び、先端に丸みのある鮮やかで黄色い花が咲く。
河骨という花名の由来は、その太い根茎を折ると白骨に似ていることからきたという。
コウホネには子供の頃の思い出がある。
生家の近く、里山に抱かれた山ふところに、太陽寺という曹洞宗の寺がある。貞和3年(1347)創建と周防・長門名刹銘鑑にもあるから古い。この寺の裏山中腹に大きい溜池があり、子供たちは「太陽寺の堤(つつみ)」と呼んでいた。
花崗岩質の山から湧き出る水を集めた溜池だから、青く澄んでキレイであった。
当時も小学校では溜池での遊泳は禁止されていた。だが私は近くに大きい川が無いので、夏休みになると、こっそりこの溜池で泳いだ。私のほかにはいつも2羽のカイツブリが泳いでいた。
ある夏、ひとりで泳いでいると、突如雷鳴がとどろき夕立が来た。カイツブリは岸近くのコウホネの群落へかくれた。雷雨の中を家へ逃げ帰ると、今度は祖父からの雷が私に落ちた。あわてて着たシャツにコウホネの花弁が付着していて、溜池での独り泳ぎがバレたのである。
あのカイツブリとコウホネの池も、はるかなる追想となった。 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻