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2002年10月06日

札の辻・21

 先週、=萩焼の「粋」大和保男展=を萩市内のギャラリー彩陶庵で観ることができた。
 茶わん、花入、香炉、陶筥など約30点に及ぶ作品は、いずれも感性豊かな技法に磨かれ見応えのあるものだった。
 まず眼を引いたのは白釉に薄紅の淡彩を浮かせた新作茶わんである。これに続く数点の茶陶にも、孤高と融和がないまぜになった作者の人間像が感じられた。
 いまひとつ大和作品の発想の根底には天性の画才が存在する。若い頃京都旅学中に友人の画家からデッサンも学んでいるが、それが今日までの絵皿の椿や琉球月見草などに、また陶壁の花曼茶羅に生かされたと思う。
 今回の作品の中でも表札型の陶板に見るコスモスに小さな秋を感じ、陶板のクレマチスには流れるような線と釉のぼかしにやすらぎを覚えた。
 萩市の呉服町に生まれた大和作太郎(保男祖父)が、先祖からの呉服商大和屋を離脱して陶芸の道に入ったのは、明治維新後間もない頃で、旧藩の御用窯などで修業を積み重ねたあと、1892(明治25)年、山口の宮野大山路に松緑窯を開いた。今から110年も前のことである。
 その歴史の経過してゆく中で、宮野窯だけでなく萩焼陶芸界が受けたいちばんの苦難の時代は、戦争から戦後に至る激動期で、その余燼の中から立ち上がった保男技法が山口萩焼窯群のすい星となった。
 現在、萩、深川と肩を並べる宮野から、萩焼の伝統を秘める城下町の一角に、回帰線上の力作が飾られたことは、400年来の血脈を感じざるを得なかった。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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