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2002年10月27日

札の辻・21

 10月21日夜は満月であった。9月の仲秋の月を芋名月と呼び、ひと月遅れを栗名月という。他に名残の月、女名月の呼称もある。
 仲秋以後の晩秋に、いま一度満月を賞でる風習があることは、日本人らしい選択であり「花はさかりに、月はくまなきのみを賞するものかは」と徒然草にも説く。
 かつて作家の獅子文六は「栗の実のツヤツヤした皮と、ザラザラした底の部分とは確かに誰かの顔に似ている。栗のような顔、というのは日本人に多いのではないか。律義で、勤勉で少しガンコな男を連想する。そして栗は日本の古いおとぎ噺にも愛すべき役割で登場した」と随筆に書いている。
 栗はブナ科の植物で日本では全国の山野に芝栗(シバクリ)が自生する。中国には甘栗にする天津栗があるが、主産地は河北地方で天津は集散地に過ぎない、下関のフグの場合と同じだ。地中海地方にはマロングラッセで知られるヨーロッパ栗がある。
 日本に栽培栗が生まれたのは7世紀頃で、わが国の栽培作物の大半が中国大陸や欧米などから渡来したものだが、栗は純国産の代表格である。栽培栗では丹波栗が名高いが、江戸時代から知られている栗に大阪の銀寄、安芸・周防の岸根がある。岸根は山口県玖北地方の特産で全国各地に出荷されている。
 ススキの穂が出そろう頃になると、里山に自生する芝栗の毬が黄ばんで割れはじめる。その小粒の実をとり出し、そのまま焼栗にすれば白ワインのつまみによく、栗名月をパリの裏町に見る気分となる。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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