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2003年03月16日

札の辻・21

 2・3のメバル又は3・4のカレイという言葉があるように、春を近づけてくる潮流の中で海の味覚も交替し、そのひとつにカキもある。カキはフグと同じく菜の花が咲く頃になると、魚市場から姿を消してゆく。
 ヨーロッパではRの文字のつく月(9月ー4月)のカキでないと食べないし、日本でも秋から春までの寒い時期がシュンである。晩春からの産卵期に中毒が多いからだ。
 戦前、海に面した漁師町では、きびしい寒風の吹きつける波止場の仮小屋で、天然カキを割りつづける婦人たちの姿をよく見かけた。
 いまは天然カキでは需要が間に合わず、ほとんどが海の畠と呼ばれる養殖棚で育てられ、厚岸湾、松島湾、志摩湾、広島湾、それに有明海などが名高い。このうち1670年代に広島湾で始まった養殖が日本での起源とされている。しかしヨーロッパでは、ローマ人がすでに紀元前に養殖を行っていたという。
 パリの冬空は暗くて寒い。その街角のレストランが店先の舗道に板張りの机を出し、氷を置いた上に生カキを並べ、レモンを添えて立ち食いをさせる。文豪バルザックは殻付きのカキを12ダース、144個も食べたといわれている。フランスやイギリスでは”海のミルク”といってカキは市民に人気が高い。
 あとわずかとなったシーズンの名残に、夕食をカキの朴葉焼きとした。飛騨コンロに金網を置き朴葉を乗せ、その上に徳地ミソをのばし、カキと小ネギを焼きながら食べる。海のめぐみを田舎ミソでひきたて、朴葉の少し焦げる匂いに、しばし春寒を忘れる。
(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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