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店長情報

2003年07月06日

札の辻・21

 行きつけの小料理屋に弁護士の友人が、泡盛の古酒壺をデンと据えている。これを時々失敬して呑む。琉球泡盛は貯蔵するほど熟成し、口に含むと清涼感が走り、ほのかな甘味が残る。沖縄ではその古酒を棕櫚縄巻の壺に詰める。常緑高木の棕櫚の皮でつくる縄は、古くから農工具用に使われているが、古酒壺にそれを巻きつける技術の職人は、いま沖縄に70歳がひとりと聞く。
 日本最古の蒸留酒泡盛は、戦前の南方貿易史泡盛雑考に「タイ国のラオ・ロンという酒と香気も風味も全く同じで、醸造過程も共通する」との記述があり、東南アジア地域がルーツといえる。
 ねばりの強い日本米では良い泡盛ができないので、昔から沖縄ではタイ米を使用してきた。
 わが酒歴に泡盛の味が加わるのは、すでに50年前、まだ沖縄の本土復帰以前のことだが、東京は池袋の琉球泡盛の店「おもろ」であった。おもろとは琉球王朝時代の古典「おもろ草紙」からつけた店名である。
 主人の南風原直さんが早稲田文学の同人であったせいか、客には作家や画家が多く、沖縄出身の詩人山之口獏さんも常連のひとりで、酔うと指笛をよく鳴らした。
 蛇皮線の島
 泡盛の島
 沖縄よ
 傷はひどく深いと
 聞いているのだが
 元気になって帰って来
 ることだ 蛇皮線を
 泡盛を忘れずに
 日本語の日本に
 本土復帰を願う獏さんの詩だった。
 想い出はガジュマルの風に島唄を乗せてくる。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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