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2003年09月14日

札の辻・21

 江分利満氏こと作家の山口瞳は、青魚の干物が好物だった。
 「私はイワシ、アジ、サバの干物が好きだ。下魚ともいわれているが、これにシラス干しを加えれば、あとは新鮮な野菜だけで充分である」と随想に書いている。
 山陰側や瀬戸内の漁港の空地に、秋天を背景にしてイカ、アジ、サヨリなどが干されている風景はこれから本番となる。
 魚の干物はアイヌの人たちの干しシシャモや塩サケのように、ずいぶん古くから工夫された保存食である。
 サケといえば、戦前の塩引鮭を思い起こす。その名のごとく腹の中から頭に至るまで、たっぷり塩を詰めたサケのエラから口へと荒縄を通し、魚屋の店頭だけでなく、乾物屋の軒先にまで吊り下げていた。また大小によって価格が異なるので、それぞれに値札がつけられた。塩引の塩辛さは格別であったが、それがまた魅力にもなっていたようだ。
 今でこそ高血圧の元凶とされ、甘塩の新巻に人気があるが、当時の小学校の運動会や遠足では弁当の主役にもなった。昨今のように木箱や贈答用ケースに収まるといった扱いではないが、全国の山村に至るまで行きわたっていた。
 三方を海に囲まれた山口県は、一夜干しをはじめとして海の干物には恵まれている。そのひとつに、でびらガレイがある。竹串に頭を貫いて10尾程度に並べた小型カレイの干物で、身が白く薄く透明感を持つ。これを包丁の背で叩いてやわらかくし、火であぶったあと醤油を2、3滴たらして食べれば、秋潮の香りが口にひろがる。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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