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2003年09月21日

札の辻・21

 この夏は雨が多く、どこの河川もアユの成育がいまひとつで、天然アユの賞味もあきらめていたところ、8月末から天候が回復して炎天がつづき、アユが良型になってきたと、日原のアユの宿から連絡があり、9月に入ってから早速出向いた。
 1年で一生を終えるアユは、旧盆の頃から成熟期に入り、日照時間が短くなる初秋ともなれば、産卵場所を求めて川下りをはじめる。
 早き瀬に力足らぬや  くだり鮎
 これは明治2年、箱館戦争で戦死した元新撰組の副長土方歳三の句で、江戸絵図のアユ釣り風景にもある多摩川河畔に生まれた歳三は、わが運命を落ちアユにたとえた。
 アユの真味は塩焼にある、とは京懐石“辻留”の主人辻嘉一の持論であった。
 ー大半の魚は刺身にかぎるといわれているが、アユは刺身よりも塩焼である。活きの良いアユを串に刺し、水気を拭きとり、あら塩を両面にふりかけ短時間に焼きあげる。食材を焼くという調理法は、すべて焦げ味をつけることであるーと生前「滋味風味」に書く。
 高津川のアユは、上流柿木川の左鐙から日原に至るまでのものが最上だとアユ宿の女主人、それは澱まぬ清流の瀬に点在する岩が多く、アユのエサとなる良質の苔がよく付くのでという。
 まずはウルカの付出し、刺身、大皿に盛った子持ちアユの塩焼、ナスとウルカの煮びたし、味噌焼きとつづく香魚料理に満腹する。
 帰路、太りはじめた月が県境の山なみの上にあった。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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