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2004年04月11日

札の辻・21

酒債は尋常行く處にあり
人生七十古来稀なり
 この杜甫の詩から歳祝いの「古稀」ができた。
 陶芸家の大和保男さんがその古稀を迎え、記念作陶展を東京日本橋の三越本店が開催したので出かけた。
 「土との格闘もすでに約60年となった。年齢を重ねるという事は、美しく輝く紅葉が積もり積もる経過に似ていて、私が表現したかったものは、つねに形であり色彩である。私はやはり萩焼の伝統である人肌のような茶と紅のはざかい色を基調としたい」と大和さんはいう。
 作家の瀬戸内寂聴さんも萩焼について
 「私は萩焼の見た目のやわらかさが好きだ。ほのぼのとして、如何にもなつかしい素朴な感じがする。使っているうちに次第に色が変わってきて、茶わんとなじんだ歴史が彩られてくる」と語っている。
 会場には60年の道程の結晶を物語るように、古稀に因んで70点の作品が展示されていた。
 力作が並んだ茶わんの中に、緑茶のしずくがこぼれたかと思うほどの、かすかに緑色をにじませた1点に魅せられた。作者の繊細な技が光る。
 圧巻は白梅と紅梅の大絵皿2点であった。大和作品に初の梅登場であり、力強い枝張りに馥郁とした花の香りを感じさせる構図が斬新だ。
 過去、山形市、新潟市と茶道の盛んな古都での保男展に同行したが、ふり返って各々の町に残る作品の残映を偲ぶ。
 若き頃ピカソにも魅せられた陶芸家は、いま芭蕉のごとく「土」に寂を求めている。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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