サンデー山口

　私が本格的な夏が来たことを知るのは、蚊に刺され始めてからです。体質なのか、どこか変なのか、虫に弱い。嫌いだというのではなく、毒に弱い。刺されたら赤く腫れて、水泡になりただれてうみを持つ。知らないうちに蚊に刺されて、腫れて、夏の到来を知るのです。　　　　　
　昼寝をしていたら、あの特有の蚊の羽音が耳の側で聞こえてきた。私の運動能力では、蚊を叩くことはできない。蚊の全身に生えている毛は、空気の微妙な動きを感じとることができるのです。鈍い私が素早く（？）手を上げたとて、蚊の敵にはならない。
　蚊が私の左腕にとまった…腹に黒白の縞がある、アカイエカのようです。それともコガタアカイエカ？　両者の違いがわからない。コガタアカイエカなら日本脳炎になるかもしれない！　腕を大きく振る。蚊は耳に残るブーンという羽音をたてて飛び立った。あっ、こんどは足にとまった！　持っていた団扇(うちわ)で叩く。もちろん逃げられた。また腕にとまった。それにしても、しつこく私を狙うなぁー。血液型からいうと、Ｏ型の血はおいしいらしい。私はそのＯ型だ。
　メスかもしれない。メスは大変なんだ。タマゴを産まなければならないから栄養がいる。血がいる。同性として応援したい気がしてくる。どのくらい血がいるのだろう。もし体質的に強かったら、生き血をどうぞ、と腕や見事な太腿を差し出したい。
　すると、今度は、昼寝ボケの頭の中で少子化のことが心配になってきた。蚊と人間どちらが生き残るのだろうか。共に生き血を吸って。