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2004年11月07日

札の辻・21

 橋を渡って角島へ行く、白い長大な橋は秋の陽を浴びて、従来の海上橋の構造とは違ったウェーブ状で、海に伸びた道を思わせる。
 橋から見る海士ヶ瀬の海は、村上龍の小説の題名どおり“限りなく透明に近いブルー”だった。
 玄海灘から日本海へと対馬海流に洗われている角島は、大和朝時代に百済王の子孫が漂着し、また中世には深川大寧寺で敗れた大内義隆の家臣が、大内家代々の宝剣「百済丸」を奉持して島に逃れ定住したとの伝説がある。
 島の西北端、夢ヶ崎にある燈台公園に向かう。明治9年にイギリス人技師が建造した燈台は光達距離18海浬で、航行船舶の守り神だけでなく荒海を越える渡り鳥たちの目じるしでもあるという。
 燈台岬からの展望は、180度の視野でひろがる海と風のパノラマだ。波の上に頭を出した岩に海鵜が二羽とまって身じろぎもしない。このあたりの磯はハマユウの群落で、夏季には芳香のある白い花を咲かせるが、今の時期は緑の葉が繁っているのみ。
 角島の瀬戸のわかめは 人のむた荒かりし
 かど我むたは和歌藻
     万葉集巻十六
 島の周辺は好漁場で、タイ、ブリ、イカ、アジ、アワビ、サザエなどやワカメも水揚げされている。
 きびしい北風に耐えた丈の低い樹木に囲まれる民家や集落の石垣の道を歩くネコの姿に、この島には裸のままの歴史と生活と自然が残されているのだと思った。開発はいらない、角島は万葉の島である。       (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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