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2005年01月23日

札の辻・21

 町へ行く郵便車らし
 雪原の果てに小さく
 赤い色動く
 新聞の投稿歌壇にあった雪国の風景らしい歌である。
 寒の入り以後きびしい寒さがつづいた。西中国山地は例年より雪が多く、阿東盆地でも津和野までには雪景色の残る集落が目立った。その残雪の道に野仏や石地蔵が立っていて、お地蔵さんのつける赤い前垂れも雪の中で印象的である。
 田の神を祀る祠や野仏は農村の持っている原風景だと思う。
 雪の中でいまひとつあざやかさを見せるのは麦のみどり色である。麦は寒さにも負けず、ぬりつぶされた銀世界の中で力強くいのちの芽を伸ばしてゆく。日本民族が主食としてきた五穀のうちの代表的なもので、原産は西部アジア地方で現在地球的に最も注目をあつめるイラク、イランに自生するという。
 日本へは200年から300年頃に朝鮮半島を経由して渡来し、弥生遺跡から種子が出土している。平安末期から鎌倉期にかけては畑ばかりでなく水田にも植え付ける2毛作で全国的にひろがり江戸時代には、東海道53次の丸子宿で麦めしに山いもをかけた麦とろが登場し現在でも人気が高い。
 麦といえば第二次大戦中に発表した「麦と兵隊」で国民的人気を博した作家火野葦平がある。火野は早稲田大学に在学中から文学活動に入り、日中事変には兵士として召集され、陣中での麦と兵隊、土と兵隊、花と兵隊の兵隊三部作がある。
 彼は1960(昭和35)年寒中の1月24日に自ら命を絶った。 
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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