サンデー山口

スケジュール遅れ、合併まで間に合わず
再開は来年７月の見通し

　山口市住居表示審議会（福田礼輔会長）は第４回審議会を先月28日に山口市役所で開き、市住居表示整備計画に基づく吉敷地区新町名の審議を一時中断することにした。10月に迫った合併までに決議することが困難になったためで、再開は合併後になる見通し。議論不十分のため事業が中断した大内地区の例（02年度）を教訓に、吉敷地区では地元検討会を設置し、１年以上かけて新町名について話し合いを重ねていただけに、地元関係者は「本当に残念」と悔しさをにじませている。
　中断の引き金となったのは、「よしき名保存の会」（藤本康央代表）が昨年12月１日に２６３４人の署名簿とともに提出した請願書。同会は、審議されている原案町名（赤田、良城、上東、中東、下東、維新公園北、維新公園南）の中で、上東、中東、下東は山口市の中での位置関係がわかりづらい（山口市上東では市の北東部にあると誤解される）などと指摘し、新町名の前になじみ深い「吉敷」を付けるよう求めてきた。
　地元検討会や審議会はこれまでの話し合いで「今回の計画は大歳地区の一部町内会も対象になっているので、吉敷を付けるのは難しい」「上東という名称にもきちんとした歴史的意味がある」などの理由を挙げ、11月上旬に原案通りで了承していた。しかし、審議会事務局（市地域生活課）は「請願に法的拘束力はないが、対象区域の有権者約３分の１を占める署名を無視することはできない」と、12月中に開催予定だった第４回審議会を延期。調整を進めてきたが、結論を出すことはできなかった。
　こうした遅れは、今後のスケジュールに大きく影響。このまま強行して実施作業を進めても、反対派住民から変更請求が提出された場合、９月議会まで審議が持ち越され、合併期日を過ぎて継続審議となり、議案そのものが廃案になる可能性が高い。このため、同事務局は審議を一時中断し、合併後の通常議会中に改めて審議していくことが賢明と結論。このたびの第４回審議会で了承された。
　同事務局は「地元の意見を尊重してやってきただけにこの結果は残念。ただ、このまま強行して住民間にしこりを残すことだけは何としてでも避けたかった」とコメント。再開の日程については「現時点の議論を保留し、速やかに審議会を再開したいと考えている。市議会議員選挙が終わる来年７月ごろになるだろう」としている。
　一方、03年７月から地元検討会を設置し、各町内会、代表者会などで何度も話し合いをし、住居表示の早期実現を目指して意見調整してきた地元関係者も最終局面での一時中断に落胆の色を見せる。検討会会長でもある小泉貢・吉敷自治会長は「合併期日に間に合わないなら仕方ないが、残念の一言に尽きる。地元のこれまでの努力を無駄にしないためにも、再開後はスムーズに事を進めてもらいたい」と話している。
　市住居表示整備計画は、人口急増など市街地化が進む地域を、地番の順序がバラバラの「大字・地番」から整然とした表示方式「新町名・街区符号・居住番号」（○町○丁目○番地）に変えることでよりわかりやすい住所にしようと、01年度に策定された。対象区域は大内、吉敷、大歳、平川、宮野、大殿の人口集中地区とその周辺。計画策定後、大内地区の一部で着手されたが、一部住民が新町名を巡って行政主導と反発し、事業が中断したため、計画全体が見直された経緯がある。今回は吉敷地区17町内会中12町内会と、大歳地区の西矢原町内会が対象となっていた。