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2005年04月03日

札の辻・21

 蝶々が一匹
 韃靼海峡を
 渡って行った。

 戦前、旧満州の大連に在住した詩人安西冬衛の詩集「韃靼海峡と蝶」の中の詩である。海を渡る小さないのちの躍動感と「春」のイメージの豊かさにおいてひろく世評を呼んだ作品だった。きびしい寒さに耐えなければならなかった大陸詩人としては、ことさら春の到来が待たれたことだろう。
 韃靼とは8世紀ごろから13世紀の初めまでモンゴリアにいたモンゴル系部族の呼称で、のちにモンゴル帝国や明に滅ぼされたが、15世紀後半には内モンゴル地方にふたたび霸権を確立した。
 1882年、東京師範学校の校長伊沢修二は、演奏会で小学校唱歌「蝶々」を発表する。

 ちょうちょう
 ちょうちょう
 菜の葉にとまれ

 なつかしいこの歌の原曲はスペイン民謡でアメリカでも歌われ、ヨーロッパの曲に日本語の歌詞を付けた最初の例だとされていたが、最近になってドイツの古くからの有名な民謡「かわいいハンスさん」のメロディーであると判明した。
 これらの歌の蝶はモンシロチョウである。モンシロはもともとヨーロッパが原産で、今では全世界に広く分布し、ナノハナ、キャベツ、ダイコンなど十字花科の栽培植物を食べて育つ。だから蝶々が菜の葉にとまるという日本的情緒は地球的な視点にもつながる。
 韃靼海峡ならずとも暖かい日には、春を伝えてひたすら椹野川を渡るモンシロチョウを見る。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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