2005年04月29日
高田公園 減らぬゴミ いたずら悪質化
自主清掃の男性は「情けない」
井上馨の生家跡であり、井上の銅像、中原中也や種田山頭火の詩碑、七卿滞在の碑なども立ち並ぶ湯田温泉の観光名所・高田公園。旅行者や近隣住人らの憩いの場にもなっているこの公園の早朝の顔は、目を覆いたくなるほど荒れている。さらにここ最近、ゴミ投棄やいたずらがエスカレート。4年前から毎朝休まず自主清掃を行っている下市町の岡﨑利夫さん(75)は「観光名所がこれじゃあ恥をさらしているようなもの。常識がないにもほどがある」と怒りをあらわにしている。
早朝6時、黄色い帽子と「公園ボランティア」腕章を付けた岡﨑さんが、200㍍ほど離れた自宅から道路沿いのゴミを拾いつつ、まだ誰もいない公園へやってきた。手のゴミ袋には、空き缶や菓子袋、タバコの吸い殻などがすでにどっさり。
公園に着くと、園内をくまなく歩き回り、あちらこちらに散らかるゴミを一つひとつ拾っていく。水路や池は網でさらい、トイレの便器に詰められたゴミを取り除き、踏みつぶされた缶の灰皿を広げ直して元の場所に据え付け、碑や遊具の破損を点検し…。アッという間に1時間が過ぎ、見るとゴミ袋の中はいっぱい。何事もなかったかのように、公園はすっかりきれいになっている。最後にゴミの分別を済ませ、通勤などで人足が増えるころには、もう公園に岡﨑さんの姿はない。
岡﨑さんは5年前、脳梗塞の後遺症で不自由になった足のリハビリにと、早朝の散歩を始めた。杖をつき、足を引きずって歩く姿を人に見られるのが恥ずかしく、まだ夜が明けきらない時間を見計らって。そんな4年前のある朝、高田公園を訪れていた旅行者が「せっかく来たのに、汚い公園」と話している言葉を耳にした。「みっともない」--その日から、岡﨑さんの公園清掃が始まった。
公園には週4日、午前8時から正午まで市の委託でシルバー人材センターが清掃に入る。岡﨑さんは、日中も2、3回は公園に顔を出すほか、代表を務める「角下市いきいき湯遊サロン」の会員とともに、隔週での美化活動も行っている。それでも、毎朝ゴミは散らかり放題、減るどころか増える一方なのだ。
「陳情に行ってやっと新しい遊具を整備してもらったと思ったら、遊びに来た親子連れが菓子袋やジュースの缶をポイ捨てして帰る。若者が足湯につかりながら飲食する、何かにつけて物を壊す。本当に情けない」と岡﨑さん。集めてまとめておいた缶やビンをばらまかれたり、家庭ゴミをトイレのそばに置かれることもある。ゴミのせいで、カラスの数も最近一気に増えたのだという。
それでも岡﨑さんは「足が良くなったのはこのおかげ。動けなくなるまで続けます」とひと言。“まちの顔”ともいえる観光地を市民が汚している現状を知り、人任せではなく、一人ひとりが重く受け止めていく必要があるだろう。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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