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2005年05月22日

札の辻・21

 5月29日は歌人与謝野鉄幹に恋いこがれ、世間の常識に抗しながらついに妻の座を得た与謝野晶子の白桜忌である。
 晶子は1942年の初夏、東京荻窪の自宅采花荘の庭が新緑に燃える中で狭心症により64歳の生涯を閉じた。
 夫の鉄幹は、青春時代に周防徳山で女学校の教師をしながら、教え子の浅田信子との恋に陷ち、夢と波乱の人生を歌と共に生き、やがては晶子と結ばれるが彼女より7年早く1935年3月死去し鉄幹忌とされている。
 「みだれ髪」「舞姫」「白桜集」などの歌集があり晶子は歌人として評価されるが、彼女の詩はあまり知られていない。
  代表的なものに、

 あゝ君死にたまふことなかれ、末に生まれし
 君なれば、親のなさけは勝りしも……

 の一編がある。この詩は日露戦争での作で、ひとりの若い女性が戦争についてはっきりと発言していることは、当時の日本の国家体制からみて驚くことであった。あの太平洋戦争でも多くの詩人たちが、戦争賛歌の詩を書いていることを思うとき、晶子の詩精神の峻烈さを感じさせられる。君死にたまふことなかれの詩には「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて」の副題までついている。近代詩の歴史においてただひとつの反戦詩だった。
 晶子には次のような5月の詩もある。

 五月雨と私
 ああ、さみだれよ
 そなたのみ、わが名も
 骨も朽ちる日に、
 埋れた墓を洗ひ出し
 涙の手もて拭ふのは。

 晶子と鉄幹の墓碑は東京多摩霊園に並んで建立されている。
         (鱧)



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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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