2005年05月22日
今年こそ、ホタル来い!
環境は申し分なし
維新公園内の「ホタル水路」
そろそろ初夏の風物詩、ホタルのシーズンを迎える。市内には一の坂川や吉敷川、仁保川、椹野川上流など、たくさんのホタルスポットがあり、毎年多くの人たちが川面に漂う幻想的な光の〝ショー〟を楽しんでいる。そうした中、県は03年秋に吉敷の維新百年記念公園内にホタルの生息に適した「ホタル水路」を整備。新たな名物スポットにするはずだったが、幼虫の放流中止などで昨年はホタルの飛ぶ姿がほとんど確認されなかった。ホタル水路には遊歩道もあり、観賞には絶好のポイント。2年目のシーズンを迎える今年、ホタルの乱舞は見られるのだろうか。
維新公園の東側、第2球技場そばには吉敷川から流れ込む約150㍍の用水路がある。以前は底がコンクリート打ち、両岸に御影石を積んだ直線的な3面張りで、人工的な造りになっていた。こうした環境下でも、毎年シーズンになるとホタルの成虫が何匹か確認できていたため、県は03年3月に用水路を自然の小川に近い「ホタル水路」(都市公園整備事業)に生まれ変わらせるための工事を開始。事業費は約6千万円で、同年11月に完成した。
水路には、瀬・淵・中州などを設けるなど流れに変化をつけ、川底に自然の小石を入れた。両岸にはホタルの産卵やふ化に適した軟らかい土を敷き、比較的草丈の高い草本類を植栽。また、車いす利用者を含め、立ち寄った人たちが水際に近づいたり、散策を楽しめるよう、木製の遊歩道やベンチなども設置。ホタルやそれを観賞する人にとっては申し分のない環境が整った。
県は当初、完成時に幼虫の放流を予定していたが、「何らかの事情」(県山口土木建築事務所)により中止。完成後間もないということもあってか、昨年は土木事務所の職員が幾つか飛んでいるのを確認しただけで、一般の人の目に触れることはほとんど無かった。
手早くホタルを増やすには幼虫の放流が最も効果的だが、そう簡単にはいかない。市内の大半の地域は、山口ゲンジボタル発生地として天然記念物指定されており、勝手にホタルを採集することはできない。飼育・放流についても特別な許可やそれに関わる団体の協力が必要になる。また、水系によりホタルのDNAが微妙に異なるため、むやみに放流しない方が良いという意見もある。
県は水路への幼虫放流を現在のところ予定しておらず、自然増加していくことに期待。このため、土木事務所の職員は、他の業務の合間をぬって近くの川から幼虫のエサとなるカワニナを捕まえ、水路に放流するといった努力もしている。
ホタルに詳しい市文化財保護課の磯部貴文さんは「条件によって発生状況は変わってくるが、最低5年間は様子を見ることが大切。断定はできないが、水路の近くにはホタルが多く生息する吉敷川と木崎川が流れているので、近い将来、ホタルの乱舞が見られるようになるかもしれない」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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