2005年08月28日
札の辻・21
最近航空機のトラブルが多い。8月12日には福岡空港発のホノルル便が離陸直後にエンジン火災と金属片約600個落下の事故を起こし、NHKカメラがとらえた火を吹くエンジンの映像はショックだった。しかもこの日は520人もの犠牲者を出したあの御巣鷹山事故から20年目のことである。
つづく14日にはアテネ北方の山間部でボーイング機が墜落、211人死亡の報道があった。
航空事故といえば、81年の8月22日台北発高雄行の遠東航空の旅客機が墜落、作家で脚本家の向田邦子さんが犠牲になっている。
向田さんはいそがしい執筆の合間をぬって、チョウ採集をかねた台湾取材旅行中の惨事で享年51歳だった。
彼女は映画雑誌記者から脚本家となり「寺内貫太郎一家」「だいこんの花」「時間ですよ」「七人の孫」などのホームドラマで人気を博したのち、「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」の三作品で第83回直木賞を受賞している。
向田ドラマにはよく食事シーンが登場した。なかでも寺内貫太郎一家では、江戸ッ子貫太郎(小林亜星)を囲む食卓情景が微笑ましかった。
「たしか阿久悠さんの作詞だったと思いますが、酒はぬる目の燗がいい、肴はあぶったイカでいい-というのがありました。私は酒は熱燗か、思い切り冷やして飲むのが好きです。肴に関してはあぶった生イカが理想だと思っています」
これは向田さんが台湾出発の前日、鎌倉書房版「四季の味」特集号に届けた随想の一節である。
もちろん絶筆となった。 (鱧)
つづく14日にはアテネ北方の山間部でボーイング機が墜落、211人死亡の報道があった。
航空事故といえば、81年の8月22日台北発高雄行の遠東航空の旅客機が墜落、作家で脚本家の向田邦子さんが犠牲になっている。
向田さんはいそがしい執筆の合間をぬって、チョウ採集をかねた台湾取材旅行中の惨事で享年51歳だった。
彼女は映画雑誌記者から脚本家となり「寺内貫太郎一家」「だいこんの花」「時間ですよ」「七人の孫」などのホームドラマで人気を博したのち、「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」の三作品で第83回直木賞を受賞している。
向田ドラマにはよく食事シーンが登場した。なかでも寺内貫太郎一家では、江戸ッ子貫太郎(小林亜星)を囲む食卓情景が微笑ましかった。
「たしか阿久悠さんの作詞だったと思いますが、酒はぬる目の燗がいい、肴はあぶったイカでいい-というのがありました。私は酒は熱燗か、思い切り冷やして飲むのが好きです。肴に関してはあぶった生イカが理想だと思っています」
これは向田さんが台湾出発の前日、鎌倉書房版「四季の味」特集号に届けた随想の一節である。
もちろん絶筆となった。 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻