2006年03月18日
「足湯は健康に役立つ」 -県立大の研究で証明-
免疫力アップ、リラックス効果も
湯田温泉配給協同組合(西村正伸理事長)が県立大学と共同で進めていた、足湯の効能検証の結果がこのほどまとまった。足湯に入ると免疫力が高まり、リラックス効果も得られるという。同組合ではこの科学的裏付けを基に、湯田温泉のブランドイメージに一層の磨きをかけたい考えだ。
良質の湯に無料で入れ体の芯まで温まると、観光客だけでなく地元住民にも人気の足湯。01年から整備を進めてきた同組合は今年度、その効能を科学的にも証明したいと、同大大学院健康福祉学研究科の市村孝雄教授(人体生理学)と森口覚教授(栄養学)に研究を依頼し、このほどその結果が報告された。
市村教授は8月から9月にかけ、研究室内に再現した足湯に源泉の温泉を運び、41度の湯に10分間足をつけた状態での脳波、心電図、血流、体温、血圧の変化を検証。135度に傾く背もたれ付きのイスに座り、暗幕で音と光を遮った静かな環境で測定に臨んだ。
データを解析した結果、体温と血圧には変化がないものの、血流は最大で脚部が2倍、上半身(脇下)でも1・3倍にまで上昇。心臓に負担をかけずに、全身の血行を良くすることが分かった。また脳波では、リラックス状態を表すアルファ波と、入眠傾向の強さを示すデルタ波のいずれかが増えるケースが目立った。これは、足湯につかるとリラックスするか眠くなるかのどちらかに作用するということ。心電図から分析できる自律神経の状態については、神経の緊張がとれる人の3人に2人は、アルファ波も増す結果がでた。「足湯は脳や神経に休息をもたらし、体をより健康な状態にする。目を閉じて静かにつかると効果が高い。背もたれがあればさらにリラックスできる」と市村教授。
一方、森口教授は、免疫機能の変化とストレスホルモン濃度から足湯の効果を検証。足湯に30分間つかる前と出た直後、さらに1時間後の計3回採血し、免疫力の指標となる白血球の一種と、ストレスによって分泌されるホルモンの増減を、同条件にした水道水の湯と比較して調べた。その結果分かったのは、水道水よりも温泉の湯の方が免疫力を高め、ストレスホルモン濃度の低下によるリラックス状態が入浴後も持続すること。つまり、足湯は温度だけでなく、温泉成分によって高い効果が得られているのだ。
また、併せて調査した、足湯に1週間継続して入った場合の影響については、免疫機能が大幅に活性化。足湯の習慣的な利用が、風邪などの感染症予防につながるという結論に達した。
西村理事長は「足湯の効能が証明されたことで、湯田温泉のブランド力にもより磨きがかかる。効果的な利用法の提案や、改装なども考えていきたい」と話す。湯田温泉では05 年、活性化に向けたまちづくり計画を策定し、ブランドイメージ形成のための一事業として「健康保養温泉地づくり」を目指している。今回の結果は温泉保養地としての裏付けにもなり、今後は足湯を含めた入浴プログラムの開発にも生かしたいという。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース