2006年09月09日
市内各地で「特定農業団体」設立の動き
集落ぐるみで麦、米などを生産 07年度、国が新規対策を導入
水稲・麦などの生産について、集落単位で経営を行う「特定農業団体」の設立に向けた動きが国内各地で活発化している。07年度以降は、自治体が認定する「担い手」でなければ国からの支援が受けられないためで、高齢化などで農業従事者の減少に悩む集落では選択を迫られている。
国は、効率的かつ安定的な農業経営を目指すために、経理を一元管理し法人化計画などを進める集落営農組合を「特定農業団体」と呼び、自治体の承認を経て「担い手」として認定している。農地の地権者集団や組合などが農業改善計画書を作成し特定農業団体であることを申請、自治体からの認定を受ければ担い手としての位置づけが確定する。
また、国は、麦、米、大豆、てん菜などの生産について「品目横断的経営安定対策」を07年度に導入する。担い手として一定の規模を有する集落営農団体などに対する経営安定化のための支援で、同時に生産者の集約化の促進も視野に置かれている。同対策では担い手に対して、04年度から06年度までの生産・出荷量に応じた支援金、優れた品質を生産・出荷するほど増額される支援金、平均販売収入額を下回った場合の差額補てん金(収入減少影響緩和交付金、米は同支援のみ)が支払われる。現在、すべての農家に対して行われている生産量1㌔あたりの助成と価格下落時の差額補てんは06年度で終了する。
こうした背景と農業従事者の高齢化を受けて、担い手としての認定を受けるために特定農業団体の設立が市内でも活発化している。阿知須の赤浜営農組合がすでに担い手として市の認定を受けているほか、名田島の向山下、新開作の各営農組合は計画書の提出までを済ませている。また、3日には仁保高畠、東園の各営農組合が、認定に向けた組合の設立総会を開き、計画書提出に対しての地区内での確認を行った。
高畠営農改善組合が行った「高畠営農改善組合臨時総会・特定農業団体設立総会」では、担い手認定に向けて組合員らが事業計画、規約、法人化計画などについての承認を行い、「特定農業団体・高畠営農生産組合」を発足。15日に市へ申請書の提出を行うことを決めた。
同地区では、87年から高畠営農改善組合として麦・大豆の共同生産に取り組んでいるが、近年では従事者の高齢化が問題に。稲作を含めた共同生産への期待が高まり、同組合で協議が重ねられた結果、特定農業団体化を選択した。山本清司組合長は「農産物の価格も上がらず、新規従事者の参入も難しい。厳しい現状を少しでも打破するために集団農業は必要。集落の活性化と農地保全のために力を合わせて取り組んで欲しい」と組合員に呼びかけた。
今後、16日には、仁保高松地区でも特定農業団体の設立を予定している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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