2006年09月23日
ドイツ帰りの結城さん 「子どもたちに世界一の演奏を」
ベルリンフィルメンバー来山へ
「鳥肌の立つような音楽を地元・山口の子どもたちに聴かせたい」。ドイツ帰りの一人の男性の夢が10月2日、現実のものとなる。この日、世界最高峰のオーケストラ・ベルリンフィルハーモニー交響楽団のメンバーが初来山し、市内の良城・小郡・阿知須の3小学校を訪問。バイオリンやチェロなどの美しい音色を披露した後、モーツァルトのオペラ「魔笛」を子どもたちと共演する。
この前代未聞のプロジェクトを実現させるのは、宇部市在住の結城浩さん(35)。24歳の時、語学留学のため単身でドイツへ渡ったのがすべての始まりだった。
向こうでは、毎週末、町のあちこちでオペラや演劇、子ども向けのコンサートなどが開かれ、音楽が人々の生活の中に自然にとけ込んでいた。各地で開かれるコンサートに足を運んでいた結城さんは、ある日、田舎の古い教会で“魂を奪われる衝撃的な演奏”を聴いたのだという。
それは、全く無名の人が奏でる音楽。「こんなすばらしい演奏家たちを表舞台に立たせたい」と、この時、コンサートを企画するプロモーターになろうと決意。音楽事務所「ニチオ」を設立し、たった一人で演奏家と交渉しながら事業を始めた。
最初のころは、50人収容の会場に数人しか集まらないことも多かったが、小規模でも回数を増やし、質の高い演奏者を呼ぶことで、2、3年後には「ニチオの主催なら行こう」と、ファンがつくまでに成長。町から助成金をもらって、1500人収容の歌劇場を満席にする大規模なコンサートも成功させた。
この仕事をする中、30歳になった彼に、また一つのすばらしい出会いが訪れた。それは、世界最高峰のオーケストラ・ベルリンフィルハーモニー交響楽団のナンバー2、ローレン・ティウス・ディンカ氏との出会い。
今年の3月に帰国することを決めていた結城さんは「山口の子どもたちに、世界一流の音楽を聴かせたい」という長年の夢を実現させるため、ローレン氏に相談。ローレン氏は“結城の願いなら”と山口での演奏を快く引き受け、夢のプロジェクトが動き出した。
今回来山するのは、アンナ・ゲバート(バイオリン)、イータイ・ケン(チェロ)、アンナ・ブーゼ・ブシュエフ(ビオラ)の精鋭3人。ローレン氏は、残念ながら来られないが、同オーケストラメンバーの来山は初めてのこと。3人は、10月2日からの4日間、県内の13校を巡り、各校でモーツァルトを中心に約5曲を披露。その後、事前に鍵盤ハーモニカで練習している子どもたちと、一緒にオペラ「魔笛」の一部を演奏する。結城さんは、「世界最高の演奏に触れ、子どもたちに芸術や音楽のすばらしさを感じてもらいたい」と熱く語る。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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