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2006年12月10日

札の辻・21

 甲斐八ケ岳の山麓に住むアルピニストの友人から、ことしも地産のリンゴが届きハガキにメリー・クリスマスとあり、改めて師走入りを感じた。
 11月の終わりからしぐれる日が多くなった。
 しぐれは冷たい北風が強くなると、雨が山稜に当たって起きる盆地特有の自然現象で、京都盆地では北山しぐれだが、山口盆地は鳳翩しぐれとでも呼ぶことになるのか。

 うしろ姿のしぐれて
 ゆくか

 12月3日は山頭火の誕生日である。彼には酒の句があるが食べることの句もまた多い。
 托鉢の旅をつづけるのだから「食」は切実な問題なのだ。

 ひょいと芋が落ちて
 いたので芋粥にする

 梅干のあざやかな
 飯粒ひかる

 食べ物の詩歌では佐藤春夫の「さんまの歌」が知られているが、人間が生きるための現実感を素直に表現したのは山頭火だと思う。そして山頭火は孤独だった。

 鴉啼いてわたしも
 ひとり

 やっぱりひとりは
 さみしい枯草

 山頭火が荻原井泉水に
出した便りには、
-孤独の寂しさと歩きつづけています。ただ歩くだけでどうなるのか、どうしようというのか、歩くほかはないのです-とある。混濁の思考は酒を求め、貧困に悩み、人と自然を頼る人生。
 師走の季語にもう一つ数え日がある。  (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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