サンデー山口

世界最高峰の芸術祭に山口から

　大内御堀在住のアーティスト・一楽儀光さん（46）が、07年開催の世界で最も権威のある芸術祭「ベネチア・ビエンナーレ」に参加することが決まった。ドラムで映像を操作するというパフォーマンス作品「どらビデオ」で異彩を放ち、世界各地で賞賛の渦を巻き起こしている一楽さん。今月には約１年ぶりの地元ライブを敢行、年明け１月には世界的ホーメイ歌手・山川冬樹氏を山口に招き、参加作品の共同制作を行う。

　「ベネチア・ビエンナーレ」は、１８９５年の創設から２年に一度イタリアで開かれている、大規模な現代美術の国際展。６月から11月にかけての５カ月間、自国の作家たちを紹介する30カ国余りのパビリオンが設けられ、総来場者数は60万人以上にも上る。また、部門ごとに優秀作家が選ばれることから“現代アートのオリンピック”としても名高い。日本は１９５２年の初参加から出展を続け、過去に棟方志功、池田満寿夫、千住博らが優秀賞を受賞している。
　一楽さんが山川氏と初エントリーを果たすのはパフォーマンス部門。出品作はもちろん「どらビデオ」。プログラミングされたドラムセットをビデオデッキ代わりに使用するというシステムで生み出す音と映像のパフォーマンスで、バスドラムをたたくと〝再生〟、スネアは〝逆再生〟、スモールタムは〝２倍速再生〟といった具合に、リズムで自在に映像を操ることができる。ちなみに、05年にヨーロッパ最大のメディアアートの祭典「アースエレクトロニカ」で栄誉賞に輝いた「どらビデオ」には、映画「赤穂浪士」（56年東映）の松の廊下のワンシーンなどを使用。華麗なドラムテクニックから繰り出されるコミカルで奇抜な映像の動きに喝采が浴びせられた。
　一方、今回の参加をきっかけにユニットを組むことになった山川氏は、アジア中央部に伝わる歌唱法「ホーメイ」を中心に世界で活躍するアーティスト。自らの声と身体から得られる心音などのリズムを光の明滅で表現する独自のライトパフォーマンスでも知られる。二人は１月から山口情報芸術センターで滞在制作を行い、６月の夢の大舞台へ臨む。
　「ライブを重ねるごとに進化し続ける『どらビデオ』は、これまでの音楽活動の集大成。本当にすばらしいものを作れば世界が認めてくれるということを証明できたことが、何よりうれしい。最高の作品で挑みたい」と一楽さん。ヨーロッパや韓国の音楽フェスティバルへの参加、東京・大阪でのライブと多忙な合間を縫って、23日（祝）には防府市栄町のバー・印度洋（TEL0835-38-5324）で午後５時から行われるライブイベントに出演する。当日は、海外で高い評価を得ている大阪のバンド「アシッド・マザーズ・テンプル」ら県内外のアーティスト11組も参加。入場料は一般２５００円、高校生以下無料（要学生証）