2007年03月09日
恥じらい
「名文を書かない文章教室」に通い始めて早9年。楽しいのだけれど、ちっとも上達しない。上手な友人に「どうしたらそんなにうまく表現できるの?」と聞いたら、みんなにはナイショで教えてくれた。その方法は、好きな作家の文章を写すことだ、と言うのだ。写すには、30枚くらいの短編がいい、とも言った。
もう仕方ない、たいぎで面倒だけれど、このまま何もせずに自己流の殻を破らないまま書いていても、うまくならないことははっきりしている。なんでもやってみなければ人生開けない。写そう。本箱の中から大好きな作家、神吉拓郎著の“私生活”を持って来て、中から長さの適当な“もう一人の女”を原稿用紙に写し始めた。
ウフフ…背中がムズムズするのだ。腹の辺りもザワザワする。小説を手書きで写すということは、その心に触れることだ。黙読するとは違う、もっと至近距離で、肌を接したような温もりを感じるのだ。恥ずかしくなってくる。
“誘惑されやしなかったが…。瀬尾には、それが、大きな心残りになった。なぜ、あの女は自分を誘惑しなかったのだろうか。男の魅力がなかったのだろうか。取るに足らぬ存在と思われたのだろうか。”
一字ずつたどっていくと、作者の肉体の全てを見た気がする。張った腰も、背中のくぼみも。ああ、恥ずかしい。
下手な私が書いたものでは、私の肉体や精神の軌跡なんぞはたどれまい。だから…ああ、よかった…なんて。文章修業にはならない。
もう仕方ない、たいぎで面倒だけれど、このまま何もせずに自己流の殻を破らないまま書いていても、うまくならないことははっきりしている。なんでもやってみなければ人生開けない。写そう。本箱の中から大好きな作家、神吉拓郎著の“私生活”を持って来て、中から長さの適当な“もう一人の女”を原稿用紙に写し始めた。
ウフフ…背中がムズムズするのだ。腹の辺りもザワザワする。小説を手書きで写すということは、その心に触れることだ。黙読するとは違う、もっと至近距離で、肌を接したような温もりを感じるのだ。恥ずかしくなってくる。
“誘惑されやしなかったが…。瀬尾には、それが、大きな心残りになった。なぜ、あの女は自分を誘惑しなかったのだろうか。男の魅力がなかったのだろうか。取るに足らぬ存在と思われたのだろうか。”
一字ずつたどっていくと、作者の肉体の全てを見た気がする。張った腰も、背中のくぼみも。ああ、恥ずかしい。
下手な私が書いたものでは、私の肉体や精神の軌跡なんぞはたどれまい。だから…ああ、よかった…なんて。文章修業にはならない。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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