アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 69人

店長情報 トップページ
店長情報

2007年03月09日

恥じらい

 「名文を書かない文章教室」に通い始めて早9年。楽しいのだけれど、ちっとも上達しない。上手な友人に「どうしたらそんなにうまく表現できるの?」と聞いたら、みんなにはナイショで教えてくれた。その方法は、好きな作家の文章を写すことだ、と言うのだ。写すには、30枚くらいの短編がいい、とも言った。
 もう仕方ない、たいぎで面倒だけれど、このまま何もせずに自己流の殻を破らないまま書いていても、うまくならないことははっきりしている。なんでもやってみなければ人生開けない。写そう。本箱の中から大好きな作家、神吉拓郎著の“私生活”を持って来て、中から長さの適当な“もう一人の女”を原稿用紙に写し始めた。
 ウフフ…背中がムズムズするのだ。腹の辺りもザワザワする。小説を手書きで写すということは、その心に触れることだ。黙読するとは違う、もっと至近距離で、肌を接したような温もりを感じるのだ。恥ずかしくなってくる。
 “誘惑されやしなかったが…。瀬尾には、それが、大きな心残りになった。なぜ、あの女は自分を誘惑しなかったのだろうか。男の魅力がなかったのだろうか。取るに足らぬ存在と思われたのだろうか。”
 一字ずつたどっていくと、作者の肉体の全てを見た気がする。張った腰も、背中のくぼみも。ああ、恥ずかしい。
 下手な私が書いたものでは、私の肉体や精神の軌跡なんぞはたどれまい。だから…ああ、よかった…なんて。文章修業にはならない。


同じカテゴリー(おんなの目)の記事
 見事なびらん (2019-07-24 00:00)
 主題 (2019-07-17 00:00)
 バスが来たら (2019-07-10 00:00)
 居るよ、居る、居る。 (2019-07-03 00:00)
 きんと雲 (2019-06-29 00:00)
 本の海に潜って (2019-06-19 00:00)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。