2007年06月15日
山口県内「ため池」の現状
現在、県内には大小合わせて約1万600カ所もの「ため池」があり、全国で第5位の多さ。しかもその約8割が、100年以上も昔に造られた古いものである。県や市では、決壊時に人的被害の危険が高い個所を中心に「ため池等整備事業」を98年度から実施し、整備を促進。これまでに約350カ所を改修している。
山口県は大きな川がなく、山に囲まれ平野部が少ないという地形から、農地開拓では棚田が多くつくられた。そのため、そこで暮らす人々は棚田の上部にため池を設け、農業用水や生活用水を確保してきた。その数は現在約1万600カ所(市内904カ所)。全国でも第5位の数で、しかもその約8割が100年以上昔に造られたものである。
農家の人はそれぞれが使用している個所の管理をしてきたが、高齢化に伴い農家戸数が減少。放置され、管理不十分なものの増加につながっている。
こうした県内の老朽化した個所の改修工事は国、県、市町が予算を分担して行うが、管理者である農家が負担する部分もあるため、なかなか改修に着手できない人も多い。
そこで県や市などは、98年度から本年度までの10年間、整備事業費の補助率を上げ、農家負担を2%以下に軽減して整備促進する「ため池等整備事業」と、県単独の整備事業「単県農山漁村整備事業」を実施。国道や鉄道、公民館などの公共施設といった、決壊時に人的被害の影響が高い場所として設定している「危険ため池」を中心に、9年間で350カ所を整備してきた。また、現在使われていないものは堤体(水をせき止める堤防)を切り、用途廃止にしている。本年度も、市内では下小鯖の出合堤など計8カ所での工事が行われている。
そのほか、県などは管理者と共に、集中豪雨による決壊や増水による水難事故の危険性がより高まる梅雨に備え、5月8日から25日まで危険ため池のパトロールも実施。堤防の亀裂や陥没、崩れ、漏水、洪水吐の詰まりなどの点検をしている。また、山の中にあり、人目に付きにくい場所には、整備後にフェンスや看板を設置して、一般の立ち入り禁止を啓発している。県農村整備課では「梅雨と台風の時期は増水し、特に危険。子どもたちの遊び場にならないよう近所の人が見回りをしてほしい。また、管理者も雨が降りそうな時には貯水量を減らしておくなど、事前に対処しておくことが必要」と注意を呼びかけている。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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