2007年08月29日
荒高 もりさま祭 少子高齢化地区に若者の力
毎年9月1日に本町の長寿寺境内で行われている「もりさま祭」に今年、山口県立大学の学生が地域共生演習の一環として、企画段階から参加。みこし担ぎを復活させたり、ステージ運営を担当するなど、さまざまなアイデアを出して祭りを盛り上げようと張り切っている。少子高齢化が進み、祭りの存続に危機感を募らせていた荒高町内会の柳井義途会長(63)は「こんなにうれしいことはない。若い力が加わり、当日は荒高に活気が戻りそう」と喜びを隠せない様子だ。
「もりさま」は、かつてこの地にあった荒高神社の通称。祭神は菅原道真公(天神様)で、学問の神様としてはもちろん、火難病よけの神様としての信仰もあつい。大内時代、後河原や堂の前など広範囲で大火があった時、天神様が森から白馬に乗って「火の用心せよ」と触れ回ったおかげで、荒高が火難を逃れたという言い伝えも残っている。
毎年、会場の準備から運営まで、すべて荒高町内会の有志で行ってきたが、近年少子高齢化が進み、有志らは祭りの存続に危機感を募らせていた。現在町内には71世帯あるが、うち65歳以上の高齢者が54人、小学生はたったの6人しかいない。そんな中、今年度町内会長になった県立大学売店経営の柳井義途さんが「何とかしなければ」と発起。同大の教授に学生の力を借りたいと相談したところ、タイミングよく今年度から始まった「地域共生演習」の一つに“もりさま祭の企画・運営”が、組み込まれることになった。
6月18日、1年生14人と2年生1人の計15人が実行委員会を立ち上げ、企画・運営についての話し合いを開始。学生らは「少しでも地域の力になれれば」と、さまざまなアイデアを出し合った。まず、約60年間今八幡宮からリヤカーにのせて引っ張っていたみこしを、今年は野田学園の生徒と協力し、「女みこし」として担ぐことに。かけ声などもみんなで決め、中市のNa c、米屋町のみずほ銀行前、道場門前のどうもん広場前で太鼓打ちのパフォーマンスも実施。また、さい銭を入れた人には「荒高神社」「今八幡宮」の文字が入った手作りの木札(600枚)を渡すことにした。
さらに、午後7時から9時まで長寿寺で開かれるステージ企画を一新。過去20年間、同町内では約20万円かけてプロの劇団を呼んでいたが、今年は学生らがプロデュース。「ストークバム」による大道芸をはじめ、同大ミステリーサークルのマジックショーや、この日のために学生らが結成したフォークバンドによる演奏、さらに同大の学生と卒業生が所属する「長州よさこい連 崋劉眞」のよさこい演舞、荒高町内会で週に3日取り組んでいる太極拳の演武で舞台を構成する。
このほか、学生はギョーザやアイスクリームの夜店も出店。町内会有志による恒例の福引きや、輪投げ、ヨーヨー、やきとりやトウモロコシ販売などもある。
同大国際文化学部2年の井原正太郎実行委員長(21)は「あくまで地域の人たちが主役で、自分たちは手伝わせてもらっているという立場。少しでも祭りを盛り上げられるよう最後まで頑張りたい」と言い、同演習担当の人見英里教授は「地域の人と一緒に活動することで、コミュニティーの中で生きる知恵など、さまざまなことを教えてもらうチャンス」と話す。また、町内会と大学の橋渡しになった柳井さんは「学生たちは朝の6時から出て準備や後片付けまで手伝ってくれるという。その心意気が本当にうれしい。来年以降も一緒に地域を盛り上げていければ」と期待を寄せている。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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