2007年09月08日
札の辻・21
文春新書「俳句鑑賞450番勝負」を読む。
編者の中村裕氏が述べるように、明治以後の450句を選び、歳時記に見る如く季語による分類ではなく、一般的な30のカテゴリーに分けたさまざまな句を並べるもので、よく知られている句から、あまり知られていない特異な句までとりあげてあるが、俳句文学の持つ多様性が生きて、読者と作者との拒離がなく、先入観なしの各俳人たちの素顔がうけとられておもしろい。
道、地名、旅、海、酒など自然と人間のくらしの中より、私なりに拾い出した句は―
○家々や菜の花いろの燈をともし 木下夕爾
詩人らしい句で現在は失われてきた戦前の集落的な春宵風景である。
○曼珠沙華どれも腹出し秩父の子 金子兜太
腹出しはヘソ出しに通じる。マンジュシャゲの咲くのは秋彼岸の頃。
○戦前・戦後・正午・服部時計店 高野万里
東京ラプソディーから歩行者天国へと銀座は変貌し服部も和光となる。
○カフカ去れ一茶は来れおでん酒 加藤楸邨
昨今おでん屋で文学論が交わされる光景をあまり見なくなった。自分なら「芭蕉去れ」か。
○山又山山桜又山桜 高屋窓秋
春四月、木戸山峠を越え阿東町へ行くまでの風景が重なる。
○よい道がよい建物へ焼場です
山頭火の句だ。 (鱧)
編者の中村裕氏が述べるように、明治以後の450句を選び、歳時記に見る如く季語による分類ではなく、一般的な30のカテゴリーに分けたさまざまな句を並べるもので、よく知られている句から、あまり知られていない特異な句までとりあげてあるが、俳句文学の持つ多様性が生きて、読者と作者との拒離がなく、先入観なしの各俳人たちの素顔がうけとられておもしろい。
道、地名、旅、海、酒など自然と人間のくらしの中より、私なりに拾い出した句は―
○家々や菜の花いろの燈をともし 木下夕爾
詩人らしい句で現在は失われてきた戦前の集落的な春宵風景である。
○曼珠沙華どれも腹出し秩父の子 金子兜太
腹出しはヘソ出しに通じる。マンジュシャゲの咲くのは秋彼岸の頃。
○戦前・戦後・正午・服部時計店 高野万里
東京ラプソディーから歩行者天国へと銀座は変貌し服部も和光となる。
○カフカ去れ一茶は来れおでん酒 加藤楸邨
昨今おでん屋で文学論が交わされる光景をあまり見なくなった。自分なら「芭蕉去れ」か。
○山又山山桜又山桜 高屋窓秋
春四月、木戸山峠を越え阿東町へ行くまでの風景が重なる。
○よい道がよい建物へ焼場です
山頭火の句だ。 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻