2007年09月09日
9月9日は「救急の日」 市消防本部、救急体制の現状
救急機関は市民にとって、万が一のけがや病気時に欠かせないもの。市消防本部が管轄する山口・小郡地域における06年の救急車出動件数は6288件と、年々増加傾向にある。しかもその搬送人員の約半数は「軽症」とされる傷病。市消防本部では「緊急性を考慮し、適正な利用を心がけてほしい」と呼びかけている。また、9月9日の「救急の日」にちなみ、4日には新山口駅構内で救急事故対応訓練も行われた。
旧山口市内と小郡、それと阿東町を管轄(秋穂・徳地は防府市、阿知須は宇部市がそれぞれ管轄)している市消防本部の通信司令課には、昨年1年間で約1万2千件の電話があり、救急車出動は6288件にのぼった。出動件数は年々増加の一途をたどっており、ここ5年間だけで938件も増えている(02年=5350件)。出動の内訳は「急病」が最も多く3582件、続いて「一般負傷」834件、「交通事故」748件、「運動競技」71件…の順となっている。
救急車は中央消防署と南消防署(小郡)に各2台、東出張所と阿東消防署に各1台の計6台が配属され、病院と各署とが連携を取りながら緊急時に備えている。ところが実際の出動は、06年の病院への搬送人員5950人のうち、その約半数にあたる2838人が“軽症”に分類されるけがや病気の人で占められる。統計にある軽症者のすべてがというわけではないが、緊急性を要する傷病ではないことが多数あるという。「人命がかかわってくる以上、どのような傷病であろうとも隊員は現場に直行します。現状では救急車を呼び出す人の判断に委ねるしかない」と深野善夫通信指令課長。
また最近では、携帯電話で119番にかけてくる人が多く、電話番号から場所を特定することが難しくなったため、「電話をかけた際には、落ち着いて、場所や目印になる建物と症状をはっきりと伝えることが最優先。目的地と症状が分かれば、通話途中でも先に救急車は出発ができ、早期対応につながる」と話している。
そのほか、119番の受信回数を減らし、適正な出動要請のみが受けられるようにと、今年3月からは「救急相談電話(TEL083-932-6119)」を設置。軽症状についての対処や病院の紹介など、救急車出動要請以外の相談にも丁寧に対応しており、現在毎月50件を超える相談を受けている。
同本部は「救急車の不適正利用問題は全国的な課題。もう一度“救急”の意義をしっかり考え、電話をかける人は緊急を要するかどうかを判断し、『とりあえず救急車を』という安易な利用はやめてほしい」と呼びかけている。
救急事故対応訓練
また、救急の日にちなみ、4日には同本部警防課がJR新山口駅で「救急事故対応訓練」を実施した。
実習訓練にはJR職員5人と消防関係者17人が参加。駅構内での事故発生を仮定し、心肺蘇生法などの救急隊員到着までに駅職員ができる対処法と役割分担、隊員到着後の応急手当やAEDを使った一次救命処置時の連携の確認を行った。奥盛雄駅長は「資格を持っていても、処置の仕方を忘れてしまい、実際の事故発生時に対処ができないと困る。こうした訓練を機会に救急への意識を高め、万が一に備えたい」と話した。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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