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2007年09月29日

札の辻・21

 残暑のつづいた9月が終わる。
 「花野」ということばがあるが、菜の花やスミレ、タンポポの咲きつづく春の野づらのことではなく俳句では秋の季語となる。先人たちは野菊、ハギ、ナデシコなど秋の草花に清楚な日本的自然美を感じたのか。
 家の近くにススキの群落があり、例年より少しおくれて穂を出してきた。そのススキの株もとにツユクサが生え、夏から初秋にかけてコバルト・ブルーの花をつける。草丈は30センチほどで地面を這うように繁り、シジミに似た小さな花弁の色があざやかなのだ。
 古来ツユクサは月草とも呼ばれ万葉の歌人たちにも愛されたが、文豪徳富蘆花は小説「みみずのたはごと」の中で「透きとほるような碧色は何ものにも比ぶべくもない。つゆ草は花ではない、それは露の精であり粋である」と書く。
 ツユクサの持つ特有の青い美しさは古くから衣料の移し染、摺り染にしているが、その青はもろくはかなくて本格的な植物染料にはならなかった。その色素はまだ解くことのできないカリスマ性を秘める。
 現在、滋賀県草津市などで友禅染の原料として栽培されているのはツユクサの別種オオボウシバナ(大帽子花)である。全形が大型で草丈も50センチに及ぶが開花期は短い。
 いまススキの群落に近い畑ではサトイモの葉が風にゆれ畦道にマンジュシャゲも咲き秋郊の舞台装置は揃った。
        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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