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2008年03月08日

札の辻・21

 先頃、文芸評論家川村湊氏の新書版「温泉文学論」が出ている。
 -国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった-ではじまる川端康成の「雪国」の越後湯沢や松本清張は「天城越え」の伊豆湯ヶ島、そして電車事故による治療で、はるばる東京から湯治客となった志賀直哉の「城の崎にて」の随筆など、いくつかが登場している。
 城崎温泉といえば「夢千代日記」でも有名だが幕末の頃、逃げの小五郎と呼ばれた長州の志士桂小五郎が-蛤御門の変-以後京都を離れ城崎に潜入し、湯宿つたやの母娘に助けられたいきさつは、司馬遼太郎の「我が城崎」にくわしい。
 今回の温泉文学論に載ってはいないが、川端康成が大作「山の音」を逗留して書いたのは、大分県の飯田高原にある筌ノ口温泉であった。
 -八月の十日前だが虫が鳴いている。木の葉から木の葉へ夜露の落ちるらしい音も聞える。そうして、ふと信吾は山の音に聞えた。-の一節がある。深い木立に囲まれたこの渓流の宿には私も一泊したことがある。宿の主人がすすめるエノハ(ヤマメ)の塩焼がおいしかった。
 温泉文学論は名湯で一時期を過ごした作家達の創作現場紀行である。
 わが湯田温泉は紹介されてはいないが、中原中也が生まれ育った湯だ。
 漂泊の俳人山頭火はもちろん哲学者西田幾多郎日記にも湯田が記されており、湯煙と文学の顔も見える町なのだ。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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