アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 88人

店長情報 トップページ
店長情報

2008年07月05日

札の辻・21

 神田川祭りの中を
 流れけり  万太郎

 久保田万太郎は浅草生まれで慶應大学卒、劇作家、小説家で活躍し俳句は余技と称したが作家小島政次郎に「俳句の天才久保田万太郎」もあり、歳時記に収録された句は明治以後の俳人では高浜虚子と並んで多い。万太郎自身は「公然たる余技」として句作をつづけ、俳句は「叙情的な即興詩」と位置づけるが、作家久米正雄は「絢爛たる枯淡」と万太郎句を称賛した。万太郎は1963年73歳で急逝する。冒頭の句は神田明神の祭りを詠んだ江戸ッ子らしい句で、毎年祭りの夏が来ると各紙によく登載される。
 私事だが先月足の治療のためわずかな日程で日赤へ入院した。病室が南病棟6Fでたいくつしのぎに梅雨曇りの下の町並みを俯瞰できた。
 朝、往古は猿林とも呼ばれた古熊の山々から象頭山、姫山へと京都の東山連峰を偲ばせる山並みが雨霧に煙りパノラマ的に視界をひろげる。
 午前7時半、町の朝はまず大殿小学校へ通う児童からはじまる。8時15分始業のミュージックが流れると、グラウンドに散っていた元気な姿は一斉に教室へ吸い込まれ水色のプールだけ残った。この頃から山口線の電車が目立ち、寺院の大屋根の周りに民家が整然と軒を連ねる町筋には古都の落ち着きが漂う。
 この町に祇園祭と提灯七夕の笛と太鼓と踊りの夏がつづく。  (鱧)


同じカテゴリー(札の辻)の記事画像
札の辻・21
同じカテゴリー(札の辻)の記事
 札の辻・21 (2016-07-30 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-23 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-16 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-09 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-02 00:00)
 札の辻・21 (2016-06-25 00:00)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。