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2009年01月17日

札の辻・21

 雪で明けたことしの正月3日間は零度前後の寒さがつづいた。
 昭和最後の無頼派作家と呼ばれた檀一雄が肺腫瘍のため九大病院で亡くなったのは1976年正月2日で64歳であった。
 「危篤状態になってから父は私たちに手をさすらせた。初めて触れる父の手は大きく暖かかった。グイと盛り上がった血管の証しが無性に嬉しかった。3日後に父は息を引きとった」と長女檀ふみは―父の手―を月刊文藝春秋に寄せる。
 「真説石川五右衛門」で直木賞受賞後には代表作として「リツ子・その愛」「小説太宰治」「火宅の人」などがある一方で手料理の食通作家としても知られていた。
 わが書架に「美味放浪記」「百味真髄」「檀流クッキング」の3冊がある。百味真髄のまえがきに「大体私が料理にはまったのは、9歳のとき母が突然家出したからだ。オヤジは田舎地主の息子で教師であったから台所は全然ダメ、それに妹が3人いたので魚や野菜の買出しから料理まで私がした。勿論インスタント食品も炊飯器やガス機具も無い時代である。長ずるに及んで私の自分で喰べるものは自分でつくる生活が、私の放浪癖や旅行好きを増長させたと思っている。この地上で買い出しほど好きなものはない。その土地の魚や野菜を買い漁り、風土のもつ流儀を見様見真似で煮炊きして食べることは至福の極みである」と。
 檀氏は地産地消の先覚派であった。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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