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2009年03月21日

札の辻・21

 南北に長い日本列島では、3月下旬から5月上旬にかけてサクラ前線の開花だよりがつづく。
 民俗伝承によると北国で遠山の雪が消えヤマザクラが咲けば、田の神が山から里へと降りてくるといわれ、里人たちは畦道近くの祠に幟を立てサクラを活けて秋の豊穣を祈るという。
 戦中世代のひとりとしてサクラに対するわが想念は深い。
 4月、旧制中学に入学して新しい制帽・制服、新しい教科書を持ったとき、校舎と校庭を分ける赤レンガの長い塀に沿って、明治に開校以来のヨシノザクラの老樹数本がつけた爛漫の花影が視野に絡んできた。
 
 年々歳々花は相似たり
 歳々年々人同じからず

 その学園にもやがて戦争が身近となり、満開のサクラは次第に軍国色に染まってゆき、生徒の多くが陸に海に空へと校庭のサクラをあとにした。
 青春の向こうには散華というきびしい言葉すらあるというのに。
 散るサクラ残るサクラ
 も散るサクラ。
毎年サクラの時期に浮かぶ悲しい文句だ。されど、
 花明り 花筏 桜狩り
 桜守 桜おぼろ
サクラに関わる叙情点描には、万葉時代から日本人がサクラに寄せる心象風景がひそむ。

 人恋し灯ともし頃を
 さくら散る

 江戸の放浪俳人加舎白雄の句である。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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