2009年07月24日
街と心に大きな傷 豪雨にのみこまれた山口市

市内各地で断水が続く…
「台風19号でもはんらんしなかった家の前の川があふれ出し、みるみるうちに水が押し寄せてきた。本当に怖かった」(大内御堀問田地区・70代女性)―。21日、山口県をおそった集中豪雨は、山口市にも大きな被害をもたらした。大内・大歳・小鯖・宮野・鋳銭司・小郡地域など市内各地で床上・床下が浸水。最大で3万6千世帯が断水を余儀なくされたほか、一時は約150世帯が停電に見舞われた。
77ミリという7月の観測史上最多の一時間雨量を記録した山口市。市民にとって大きな打撃を受けたのが、浄水処理したきれいな水を市内7カ所の配水池に送っている市朝田浄水場の浸水だ。「当日は雨の中、土のうを積むなどして対処していたが、横の椹野川がはんらんして雨水が流れ込んで来てからは一瞬だった。たった5~10分ほどでこの地域一帯が腰の高さまで水につかり、もう状況を見守るしかなかった」と上下水道局職員が語るように、施設内と電気設備、場内に駐車してあった自家用車など約50台が浸水。水をきれいにする「ろ過池」、きれいにした水を貯める「浄水池」、送水ポンプが機能停止の状態に陥っており、復旧時期は不明だが作業者の話では早くても10日~2週間はかかるという。
この影響で、最も多い時で小鯖、大内、宮野、南部地域など市内の広範囲で約3万6千世帯が断水。豪雨から一夜明けた22日昼には、自衛隊付近と道場門前商店街一部で解除されたが、依然約3万軒が断水している(22日現在)。
市は自衛隊に18のタンクを要請。岩国・宇部・萩からも応援を受けて、各地域の地域交流センターや出張所、小学校など16カ所で、給水活動を実施。取りに来るのが困難な人などには、スピーカーで知らせながら配給車を回らせて対応にあたっている。給水活動計画は、市のホームページで随時公開していくという。
また、22日現在、下小鯖一帯で150世帯が停電している。中国電力山口支社によると「道が封鎖されて車が現場になかなか入っていけず、復旧のめどは立っていない。被害の確認をしている状況」という。
さらに、国道262号線の佐波山トンネルの手前から防府側へは、土砂崩れのため通行止めの状態が続いている。県によると、行方不明者の捜索と復旧作業に当たっているが、山からまだ水が出ているため作業が進まず、復旧のめどは立っていないという。防府市から大内へ通勤している岡本康志さん(34)は「今は陶から椹野川沿いを通って職場まで来るのに、約3時間はかかる」と疲弊した様子。一方、「断水でお困りの方に昼11時から午後2時まで無料で流しそうめんを提供します」と呼びかけるレストラン・日路庵(大内長野)をはじめ、街に明るさを取り戻そうと取り組む店舗や企業も出てきている。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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