サンデー山口

　私は、喫茶店で雑誌を読んでいた。客は３０代とおぼしき男性客二人連れだけ。「会社は海外進出を考えているぞ、英語だけは完璧にマスターしたい」。切れ切れに聞こえてきた。彼等の勤勉な心に触れ、爽やかな気持ちになっていた。紅茶が美味しかった。
　そこに私と同年輩の６０代の女性達が５人賑やかに入ってきた。着ている物もカラフル。紫陽花みたい。小さい喫茶店なので、男性客の隣のテーブルに彼女達一団は座った。
　注文に議論百出。ケーキか、プリンアラモードか、はたまたアイス三種盛りか。笑い声が響く。男性客から「うるさいなぁー、オバサンは」という小さな声が私だけに聞こえた。
　“お若いの、君達は女から生まれたのよ。お乳って白いけれどあれ血液よ。飲ませてあげたのに。慈悲溢れる女だから育てたのよ。男って不完全で、遺伝子の使い走りだって、この雑誌に書いてあるわ”。私の悪い癖が始まった。自分が言われたら言った人に向かって「あなただって云々」とあげつらう癖。昔Ａ君に指摘されたけれど直らないのである。
　彼女達は、黙々とケーキを食べていらっしゃる。女性達はいっぱい苦労してきたのだ。知ってる？　苦労しても粗食でも長生きするのよ、女性は。
　我が同胞よ、身体お大切に！