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2010年05月01日

「ひねくれ一茶」の色

 田辺聖子著「ひねくれ一茶」を読んでいると、珍しい色の名が出てくる。
 一茶が仲間に“瓶覗”の手拭二タ筋を貰う、とある。瓶覗とは? 「日本の傅統色」(長崎盛輝著)をめくる。
 それは、藍染めの極淡い色で、その淡さは水色より更に淡い。瓶は、藍液を貯える瓶のこと。覗きは、被染物を藍瓶の薄くなった液に、一寸浸す(一染め)の意。英名はホリゾン ブルー(地平線に見る淡い空の色)。
 憧れの女弟子の描写はこうだ。“路考茶の縮緬の単衣に、下着は薄ねずみ色、帯も同じ薄ねずの厚板だ”。路考茶色とは黄茶の黒味がかった染色。英名はビーチ(ブナの木色)。宝暦から約70年間流行した江戸の人気色。
 同じ女弟子の別の日の着物は?縹の紗の単”。縹とは、青色の古名。淡い青色。英名はサファイアブルー(サファイアの宝石の青)。
 田辺氏の「ひねくれ一茶」には色が沢山出てきて場面が華やかに広がる。田辺氏は色が好きなのだ。
 作中、ある宴席で、一茶が“老いぬれば桜も寒いばかりなり”と詠み「色彩のねえ句だな」と言われた。評した人は天才絵師北斎。句に雀や蚤、子供はよく出てくるが、色は見えないのか? 一茶は色に興味がなかったのだろうか。面白い。一茶の句の色に注意してもう一度読もう。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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