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2010年05月29日

札の辻・21

 ああ皐月フランスの
 野は火の色す
 君も雛罌粟われも雛罌粟   晶子
 
 明治・大正期の歌人与謝野晶子は1942(昭和17)年の5月29日、狭心症により東京荻窪の自宅にて64歳で亡くなる。「みだれ髪」「恋衣」「舞姫」などの歌集で情熱の歌人と呼ばれた。
 冒頭の歌は歌集「夏より秋へ」にある。晶子は前年すでに渡仏している夫与謝野鉄幹を追い1912(明治45)年の5月にフランスを目指す。
 当時鉄幹は雑誌「明星」の廃刊や女性問題でノイローゼ状態にあったことから晶子は苦労して夫の渡仏費用を捻出した。
 そして彼女も又夫を追う決心をしまず船でウラジオストックへ、そこからシベリア鉄道で欧州へ向かう、シベリア経由のこの行程は昭和になり林芙美子や宮本百合子も体験している。
 日露戦争後の長い列車の旅をつづけてフランス領に入った晶子は、車窓に野生の燃えるような赤い色をした花の群落におどろく。雛罌粟というひなげしであった。彼女はその鮮烈な色彩に魅せられて火を連想し、列車の音からうけるリズム感を重ねて歌ができた。
 パリでは夫と合流し10月まで滞在する。
 佐藤春夫は「晶子は女の道に生きた超近代的な詩人」と評した。
 時移り花芥子はいま麻薬にゆらめく白日夢となっている。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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