サンデー山口

　暖かくなりました！　春ですね。こうなると地中から這い出す虫と同様、人間も出歩きたくなります。来月遠隔地の友人４人が湯田温泉に遊びに来ます。「泊まる所探しといてね」と友人。「希望は？」と私は問う。「便器を横目に見ながら、シャワーカーテンを入れた風呂に入るのは嫌。固形燃料がボーボー燃えてる鍋つきで、和洋折衷料理で最後に蕎麦まで出てくる、食べきれない量と品数の食事は嫌。勿体ないから残さず食べて夜中に苦しくなるのは嫌。館内を浴衣とスリッパで歩けないのは嫌。高いのは嫌」「うーん、希望に合うところを探しとくわね」と私は眉間に皺を寄せながら受話器を置く。
　私は湯田温泉の中心地から徒歩２０分の所に住んでいる。だから湯田温泉の旅館やホテルに宿泊することはない。内部の細かい様子は知らないし、温泉には昨年は一度しか入っていないので、湯質も語れない。地元にいて、地元のことは知らないのである。それではいけない。ちゃんと案内できなければ海千山千の女友達を満足させることはできない。
　探した。４人で１部屋、風呂は大浴場、もちろん良質温泉、食事は外で適宜の量を食べる。スリッパ、浴衣良し。値段も友人希望料金。部屋のトイレは横目でバスタブを見ながら使うようになるが、いいかな？