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2011年08月20日

札の辻・21

 先夜、野田神社の能楽堂で行われた山口薪能を見た。
 このたびは喜多流と和泉流の栗谷能夫、野村萬斎らによる主演で、野田の森から吹き寄せる風に夜の秋を感じるひとときで、開演前かがり灯の火入れ式は渡辺市長と中山薪能実行委員長他で行われた。
 能・船弁慶は能柄としては五番目に位置する演目で知られており、観世小次郎信光作のひとつで1885(明治18)年に東京で初演されている。
 兄頼朝からの疑いを晴らすために都落ちして西国へ向かう途中、摂津の船宿に源義経、武蔵坊弁慶の主従たちを慕ってきた静御前を説得し京へ帰らせようとする別離のひとときが熱演される。やがて船出すると、にわかにシケとなり平知盛の亡霊も現れて義経を海に沈めようとするので義経の家来が太刀で争い、最後に弁慶が祈り伏せる。静御前と知盛の静と動を同じ演者が演技する。
 船弁慶と前座の狂言「磁石」の共に感じたのは主演の萬斎独自の張りのある声量と所作に、以前に比べるとおだやかさが感じられたのは芸域の熟達によるものか。
 司馬遼太郎は言った「平安から室町になると庶民に文化の質が判るようになり、当時創作された能を観ることによって自己が確立され、もし日本文化に能がなければ吾々はずいぶん淋しい思いをするにちがいない」と。
 「西の京山口」を神域の夜風に想う。  (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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