サンデー山口

　「座右の銘」とは、いましめの言葉である。身ぢかにおいて、いましめとする格言である。いましめの言葉はその時その時で変わる、と私は思っている。人は変化する。前進もするが後退もする。その時に自分を鼓舞し自戒するためのものが「座右の銘」である。
　“ふんばれ！”。これが現在の私の座右の銘である。昨日までは“がんばらない”であった。全く反対である。がんばったこともない私が、がんばらない、ということがそもそも可笑しいが、気を入れすぎても良いことはない、流れるままに、ということだったのだろう。私はもう変わってしまったのだから、過去のことなど思い出せない。では、今何故、ふんばれ、となったのか。これはすぐに言える。
　私が通っている文章教室の先生が、私にこう言われたのだ。
「あなたの欠点がよくわかった。成し遂げないのだ。すぐにあきらめる。書いている小説がうまくいかなくなったら、すぐに捨てて、新しいものを書き始める。だから良い小説が書けないのだ。ふんばって、完成させなさい。フンバレ！」
　ふんばれ！、の大きな字の横に小さく書いている自分の言葉がある。
―このまま死んでもいいのですか？　ここまでやってきたのだからフンバレ！