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2011年09月28日

男の持ち物

 私は15年間、月2回、同じ曜日の同じ時間、JRの山口線に乗っている。
 車中でいつもみかける男性がいる。年も私と同じくらい。つまり、50歳から65歳まで月2回、同じ車輌で同じ時間を共有したのだ。中肉中背、特徴のない男性で、市中であったら彼だとわからないだろう。だが、彼の持ち物だけは覚えている。男性の持ち物が15年間で変わっていった。
 最初会った時は、黒皮の小ぶりなカバンを肩から下げていた。社名の入った紙袋も持っていた。それが3年。
 次は、金文字で社名が入った大きな茶色のカバンを重そうに下げていた。前に持っていた紙袋の社名とは違う。出向か、転職か。それが約5年。
 次に、彼は剣道具一式を持って乗り込んできた。朝から稽古? 退職したのか? 男はだいたい62歳になっているはずだ。それが3年。それから1年男を見なかった。
 次に会った時、彼は右足が棒のように直立して曲がらなくなっていた。通路に足を投げ出している。今度の持ち物はバイオリンケース。剣道は無理になったのでバイオリンにしたのだ。なんという趣味の豊かな男性なんだろう。心の切り替えのできる鮮やかな男。あれから3年、彼はずっとバイオリンをもって乗っている。男のバイオリンを聴きたい。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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