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2012年05月19日

長い列車 2

 私から、中也賞受賞者暁方さんの乗る車両を見ようとすると、目がくらんでくる。選考委員の詩人たちの評を手引きにして、暁方さんの車両にたどり着きたいと思ってはいるが、多分本気では思っていない。世界遺産を驚嘆の目で見学するように遠くの車両を手をかざして見るだけでいいと思っている。光り輝くものはそこにあるのだから、私がいうのもなんだが、安心している。
 受賞の言葉で、ミセイさんは言っています“書くことはたいてい、猛烈な感情のあとにやってきます。私はまだ真に詩のことで苦悩したことはないのだと思っており、この先もっと苦しんだり追い詰められたりすることがあるかと思うと、怖くなったりしますが、必ず喜びとともにありたい、といまは思います”
 墓地に行ってみたくなった。列車から降りた人達が集う墓地は、雨の日で冷たい風が強く吹いていた。冷ややかな緊張した空気が広がっていた。誰も私を見ていない。彼等は墓石の前で、胸を張って空の向こう、宇宙だけを見ていた。宇宙からくる敵を見張っている、そんな気がした。墓地は地球防衛隊の基地のようだと私は思った。地球は大丈夫だ。長い列車は走り続けられる。時期が来て私が列車を降りたら、この防衛隊に加わる。大理石の墓石群に敬礼。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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