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2012年08月25日

札の辻・21

 家の近くにつづく仁保川土手の草むらに、コバルト・ブルーのツユクサがひと株あざやかに咲いていた。
 オリンピックも終わり旧盆を雨模様で迎えた朝、葉先に雨滴を含んだ花はたしかにみずみずしくさわやかな秋涼さまで感じさせる。
 ツユクサは畑地などの作物の間に生える耕地雑草的な野草で、農道や宅地の庭先にも生育する人里植物なのだ。
 古来、ツユクサは万葉の歌人や近代の詩人たちにも、その花姿にファンが多い。
 “ツユクサを花と思うは誤りである。花ではない、あれは色に出た露の精である”と、徳冨蘆花は作品「みみずのたわごと」の中に書く。
 ぴんと張った2枚の碧玉色の花びら、そのあでやかなゆかしさは古くから植物染料となり摺り染にもされてきた。
 ツユクサの花弁は3枚なのだが、そのうち2枚が大きく濃い青色で帆を張ったように目を引く、もう1枚は白色で小さく折りたたまれた包葉の中にかくれて目立たない。
 夏から秋までツユクサの花弁は変化せずになぜ青いのかと植物学者たちの間で論争にもなったと聞いたが、秋立つ頃の野辺に咲く碧色の粋だと蘆花は書く。
 夏は初夏、梅雨、盛夏の三度に分けられるように、秋もまた長雨と野分の風と、天高く馬肥ゆるの時季がある。
 仁保川の川面を渡る風は季節をいそぐ。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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