サンデー山口

ほるぷ出版
文：マイク・サーラー
絵：ジェリー・ジョイナー
訳：きしだ　えりこ
　「わゴムはどのくらいのびるかしら？」。ぼうやはわゴムで遊びながら不思議に思い、たしかめてみることにしました。
　わゴムをベッドの枠にひっかけ、ぐんぐん引っ張ります。自転車に乗って引っ張ってもまだのびる。バスに乗り、汽車に乗り、飛行機に乗って引っ張ってもまだまだのびる。船で海を越え砂漠に行き、ラクダに乗ってロケット発着場へ。ロケットで月まで飛び、降りようとしたその途端、わゴムはボーンとはね、ぼうやは自分のベッドに着陸しました。
　よく見ると、ぼうやのベッドのまわりには自転車、バス、汽車等、乗り物のおもちゃが並んでいます。お気に入りのおもちゃと一本のわゴムで、ぼうやは月世界まで旅してきたのです。
　子どもの目にうつる日常世界には不思議がいっぱい。「なぜ？」の答えを探しながら、子どもたちはわゴムのように柔らかな心をのばしたり広げたりしていきます。
　空想の世界をたっぷり楽しんだぼうやの満ち足りた笑顔が印象的です。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）