サンデー山口

福音館書店
著：田中　サタ
画：真田　ふさえ
協力：三水　比文
　この本は、内裏雛、三人官女、五人囃子の作り方を紹介したものです。重ねた色紙を丁寧に折り合わせ切れ込みを入れていくと、十体の愛らしいお人形が出来上がります。
　いつの時代にどんな人が考えついたのか分からないこの折りびなの作り方は、人から人へと静かに伝えてこられました。著者の田中サタさんもある先生から教わり、その美しさに魅せられて、長い間身近な方々に作り伝えてこられたそうです。
　石井桃子さんのおすすめで「折りびな」の本が出版されたのが69（昭44）年。その後、しばらく絶版になっていたものが、昨年末に再版されました。田中さんは97歳で亡くなられましたが、この本でより広く、より多くの人に折りびなを知ってもらう機会が開けたのです。折り方だけでなく紙にもこだわり続けられた田中さんの思いを継いで、本には手漉き和紙が添えられています。
　和紙、折り紙、ひなまつり―さまざまな時代を経ながら生き続けてきた日本の美しい文化をたっぷり味わえる一冊です。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）