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2013年06月29日

札の辻・21

 雨雲の重いツユ空のもと県立美術館前のケヤキ並木道を歩く。
 芽吹きの頃と変わって重なる葉並には淡黄色の小さい花をつけた小枝も見分けられる。
 ケヤキはニレ科の高木で日本に自生する樹木の中では大木となるひとつ。山林外に人家の庭先や街路樹にも多く、また建築材、車両、船舶の用材として他方面に利用されてきた。
 美術館通りのケヤキも秋には黄褐色に色づいて寒さの早い山口の十一月には落葉を見ることになる。ケヤキの美しさはやはり薄黄色をもつ若葉の頃で、並木道の空が新鮮な色あいを映すような気分を招き、道をゆく人に陽差しが葉蔭を通して自然のリズムを運ぶ。
 北海道を除いて列島各地に自生するケヤキは大きいものになると、その樹高は50メートルにも及ぶようになるという。
 井上靖の小説「欅の木」にはケヤキ並木を愛する人たちが“ケヤキを守る会”を結成し木立を育て保護している。
 中原中也の詩碑建立に尽力した大岡昇平もケヤキ派であった。-ケヤキの木肌はマツやイチョウと比べて堅くなく、やわらかすぎもせず鈍い光沢がある-と武蔵野随想に記す。
 中也の詩碑建立後に文化講演で来山した大岡氏が「山口の街は山肌が近い。蓄積した年輪と歴史を肌に感じる」と冒頭で語った言葉を思い出す、ケヤキ萌えのように。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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