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2013年12月11日

 雉が、私の目の前2メートルのところを左から右へと道路を渡っている。左の背の低い草の間から出て、車一台やっと通れる舗装されていない道を渡り、右の雑木林の中に歩いて行った。見事な青緑色の胸と背には紫の羽を持つ雄で、堂々としていた。国鳥だというのも頷ける。その間、約1分。私は動かず息をつめて、じっと見ていた。ゆっくりと、褐色と緑の混ざった色の尾羽をツンと立てて藪の中に消えていった。
 私はあの尾羽を持っている。もう60年も前のことになるが、親戚の者が、中国山地の山奥の村で猟師をしていた。ある日、私は彼の雉撃ちについて行った。猟犬が、木々の間を雉の匂いを探しながら先頭を行く。藪に潜む雉を見つけたら、3メートル手前でぴたりと尻尾を垂直に立てて静止し、その場所を猟師に伝える。私は息を潜め気配を消す。猟師が、手を挙げると、犬は藪に突っ込む。雉は驚いて、45度の角度で飛び立つ。そこを撃つ。私は、両耳をふさいで目を閉じる。雉が撃ち落とされる。雉の落ちた場所に犬は走っていき吠えて教える。犬は使命感に燃えている。私はその時、なにを考えていたかもう忘れた。が、緑や紫の玉虫色に輝く尾羽を数本貰って嬉しかった事は覚えている。今もそれを持っている。
 今朝の冬の雉は、神々しく、美しかった。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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