2014年01月01日
健康寿命を長く保つために 運動器疾患の早期発見、早期治療を!
身体運動にかかわる骨、筋肉、関節、神経など、体の“運動器”の不具合を放置していませんか? 日本整形外科学会が07(平19)年に提唱した「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)。加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気などにより、運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになった状態にある人、また、そのリスクの高い状態にある人を指している。高齢化が進む中で、健康寿命を保つためには「早期発見、早期治療」が鍵を握る。
運動器の中で「ロコモ」に至る主要因は次の三つ。①脊柱管狭窄による脊髄、馬尾、神経根の障害②変形性関節症、関節炎による下肢の関節障害③骨粗鬆症、骨粗鬆症性骨折。
それぞれどのような症状がロコモにつながっていくのか、具体的な運動器障害を見てみよう。
①「腰部脊椎管狭窄症」
足につながる神経が腰の部分で圧迫されることで発症する。じっと立ったままでいると足に痛みやしびれを引き起こし、歩くとさらに悪化する。高齢者に多く見られる症状で、前かがみになると多少痛みやしびれが和らぐため、年を重ねるごとに腰が曲がってしまう原因の一つにもなっている。休まずに歩ける距離が150㍍から200メートルを切る場合は、手術が考慮される。現在では1~3週間で退院が可能で、個人差はあるが、術後翌日か翌々日には、すぐに歩行練習を始められる。
②ひざ関節の痛み
加齢に伴う軟骨のすり減りによって生じる。悪化すれば歩行も困難になり、人工関節手術が必要となる。近年、手術精度が大きく向上しているが、痛みに苦しむ人に、最新治療に関する正しい知識が届いていないという課題も残る。「手術=寝たきり」などと、間違った知識をうのみにして手術を敬遠し、痛みを我慢し続ける人も少なくない。
人工関節手術は70歳代が適齢期で、80歳以上の人でも支障はない。手術前よりも活動性が落ちることはなく、入院でのリハビリや在宅でのトレーニングを正しくこなせば、2、3カ月(個人差あり)で“痛みのない”通常の生活に戻れる。
③「骨粗鬆症」
骨は古くなった部分が壊され、すぐに新たな組織が形成されるという新陳代謝を繰り返し、丈夫さのバランスが保たれている。加齢や閉経後の女性ホルモンの減少などにより、骨の形成が追いつかなくなり発症に至る。骨の強度が低下するため、骨折の危険性が高まる。背骨、大腿骨のほか、手首、ひじなど関節部分に注意が必要で、日常のささいな動きで折れてしまうこともある。
早期段階では、飲み薬や注射による治療で対応できるが、大腿骨や股関節の骨折は寝たきりにつながる危険性が高い。自覚症状がないため、整形外科や婦人科などでの定期的な検査が必要だ。予防には、日ごろの「食事」「運動」「日光浴」が重要となる。
予防は知ることから 思わぬことがロコモのきっかけに
医療制度や内科医などの努力で平均寿命が延びている反面、運動器の健康がおいてけぼりの傾向にある。健康な高齢者が、転倒など思わぬことがきっかけで要介護になってしまうケースも少なくない。危険因子報告から導き出されたチェック方法があるので、自身の状態を確認してみよう。次の7項目の内、一つでも該当すればロコモの心配がある。①片足で靴下がはけない②家の中でつまずいたり滑ったりする③15分も続けて歩けない④横断歩道を青信号で渡りきれない⑤階段を上るのに手すりが必要⑥約2キログラム(1リットルの飲物2本程度)の買い物をして持ち帰るのが困難⑦家のやや重い仕事(布団の上げ下ろしなど)が困難。
予防にはまず知ることから。「メタボ」「糖尿病」だけでなく、運動器に関する知識もしっかり身に付けたい。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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